文(OO:刹那受)
□valentine & white day
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valentine
& white day
それは1ヶ月の14日。
2月最大のイベント、バレンタインデー。
王留美とスメラギの計らいもあり、トレミーの男性陣は義理ながらも全員チョコをゲットする事が出来た。
しかし!
やはりこのイベントで待ち望むのは本命からのチョコレートである。
ロックオンは刹那の為に地上で購入していた本命チョコを片手に、軽い足取りで刹那の元へと向かった。
「お、刹那!」
ようやく見つけ出した刹那は、待機室から整備中のエクシアを見つめていた。
「…ロックオン?」
どうかしたのか?と視線で問い掛けてくる刹那の手には…何もない。
部屋に置いて来たんだろうと勝手に理解しながらも、ふとした不安に駆られたロックオン。
相手はエクシアに絡まない限りめったに興味を示さない刹那だ。
「お前に渡したいものがあって来たんだ。…ところで刹那、今日が何の日か知らないなんて事は…」
「今日?ああ…バレンタインだろ?」
知ってたか!…ロックオンがそう安堵した瞬間、刹那から放たれた言葉にロックオンはポカンとなる。
「チョコレートを配る日らしいな…。さっき王留美達から配られた」
「…ちょっと待て。ちょっと違うぞ…刹那…」
思わずガックリと床に這いつくばってしまう。
「…違うのか?」
「まぁ…遠からずなんだけどな?チョコレート会社の策略でもあるんだけどな?…今はと〜っても意味あるイベントなんだぞ?刹那…」
「……?」
…知らないらしい。
ロックオンの儚い夢が崩れ落ちた瞬間だった。
「いいかぁ?バレンタインのチョコには意味があってだな。普段世話になってる相手に渡す『義理チョコ』と、本当に大好きな相手に渡す『本命チョコ』がある」
……何故に俺はバレンタイン当日にバレンタインデーの説明をしてるんだ…。
刹那からのチョコを期待していた分だけ虚しさを感じながらも、一応は耳を傾けている刹那の為にロックオンは説明を続ける。
「要するに、お前が今日ミス・スメラギ達に貰ったのは『義理チョコ』………だと思いたい。でもって、コイツが俺から。お前への『本命チョコ』、だ」
「………本命…」
ロックオンが刹那に差し出したのは、シンプルな藍色を基調としたラッピングのチョコ。
刹那は受け取ったその小箱の意味を確認するように、ロックオンを見上げる。
「ようするに、俺が一番大好きなのは…せ…ぅぐッ…!?」
改めて告白の言葉を告げようと口を開くが、その口は刹那の右手によって塞がれる。
「……俺は…」
刹那の視線が、助けを請う様にエクシアへと向けられる。
「…エクシアが好きとか言わないでくれよ?わかってるからさ。ぶっちゃけ…エクシアには勝てる自信ないからな」
「………」
口を塞ぐ手を掴み退かせると、ロックオンは刹那の逃げ道を塞いでいく。
ムッと黙り込み、顔を逸らした刹那の顔は仄かに赤い。
…ヤバい…可愛い…。
時折見せる刹那の何気ない表情や仕草は、ヒドくロックオンのぐらつかせる。
…この、小悪魔め。
「俺は…何も用意してない」
ふと呟いた刹那の言葉にロックオンはフ…ッと笑みを漏らすと、低い位置にある頭にポンと手を乗せる。
「知らなかったんなら仕方ねぇだろ。それにま…、無理にするものでもないしな?」
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