文(OO:白刹那)

□始まりの朝
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act.1
第一犠牲者
イアン・ヴァスティ


トレミー内。
AM8:15

『ロックオン、アサ、オキロ。オキロ』



朝。

就寝中のロックオンの室内に響くのは、賑やかに跳ね回るハロの声だ。

「あ〜…はいはい。地球からコッチへ戻って来ると、どうも感覚が狂っちまう…」

ハロの声によって強制的に眠りから引き起こされたロックオンはベッドを降りると、大きく背伸びをしながら

「ロックオン、ジサボケ、ジサボケ」

「時差ボケ…まぁ、そんなもんだろうな。さてと、朝飯でも食いに行くかぁ…」

ロックオンはハロを抱えると、食堂に向かうべく部屋を出た。


「…っと…、あれは…おやっさん…?」

食堂へ向かう途中、通路で立ち尽くしている整備主任イアン・ヴァスティの姿にロックオンはを止める。
イアンは真っ赤になって固まっていたが、おもむろに周辺をキョロキョロと確認をすると突然自らの頬を抓り始めた。

「…痛…〜ッ…」

「ちょ…おやっさん?朝っぱらから何やってんだ?」

ロックオンが近付きイアンの肩を掴むと、その声に漸く我に返ったようにイアンはロックオンに振り向いた。
「お…おう、ロックオン。これから朝飯か?」

「ああ、そうだが…。それよりどうかしたのか?おやっさん。端から見てると変質者みたいだったぞ…?」

「誰が変質者だッ!!」

完全に挙動不審な不審者と化していたイアンを訝しむように見ながら問い掛けると、イアンは「見られたか」罰の悪そうに頭を掻きながら溜息を吐く。

「…いやな、ついさっき実はエクシアの調整を終えたもんでな。それを今刹那に伝えたんだが…」
「刹那?」

イアンの口から出てきた『刹那』と言う名前に、反射的にピクリとロックオンの耳が反応した。

イアンは神妙な顔付きのまま小さく頷くと、ロックオンに視線を向けて話を続ける。

「アイツが…刹那の奴がだな、俺に『ありがとう』と言ったんだ…」


「はぁ…?」


ロックオンは間の抜けた声と同時に、思わず抱えていたハロをポロッと落としてしまった。




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