文(OO:白刹那)

□僕とキミと僕
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act.2

犠牲者:アレルヤ・ハプティズム


トレミー内
AM09:24

「…イアン・ヴァスティの反応は微妙だったな。…表情が不自然だったのか?…だが、エクシアの装備増やしてやるとか言ってた…」

廊下で整備主任であるイアン・ヴァスティと分かれ、朝食を取ってから刹那はトイレの鏡の前で真剣に自分と『にらめっこ』をしていた。

イアンの不自然さは刹那の演技の可愛さに舞い上がってしまっていたからなのだが、刹那自身は自らの演技力不足と考えたらしい。

両手の人差し指で唇の両端を軽く上げてみたり、両目尻を頬を強めに摘んでみたりして笑顔を試みるが納得いかない。

「…ハァ…。トレミーに来てから演技力なんて必要無かったからな…。だが地上に行くミッションがある以上は、しっかり練習しておいた方が無難か…」

両頬を摘んだままブツブツと1人呟いていたが、突然入り口のドアが開くと刹那は何時になく驚いた様子で振り向いた。

そこに立っていたのは、アレルヤ。

「…アレルヤ・ハプティズム…」

「刹那?…どうかしたの?頬が赤い…」

「え…?あ…いや…」

目が赤いのも頬が赤いのも頬を強く摘んだせいなのだが……。

流石に笑顔の練習をしていたとも言えずに口ごもると、アレルヤの勘違いは更に深まって行く。

アレルヤは刹那の両頬をそっと両手で包み込むと、刹那の顔をジ…ッと覗き込んだ。

「目も潤んでる…熱は無いみたいだけど…。もしかして…泣いて…?」

「……」

(泣く…こんな感じ…か…?)

悩み抜いた末、刹那はアレルヤに対してドコか弱々しく、困りきった表情を見せ始めた。

『人畜無害な少年』の『練習』をする為に。

「アレルヤ…僕…、その…この事は誰にも…」

「……え…?…」

刹那は辛そうに俯いて目を伏せると、自らの服の胸元を右手でキュ…ッと握り締める。

「せ…刹那…?」

目の前にいる見たことのない『刹那』にアレルヤはドキリとし、思わず声をひっくり返した。

(…な…何だろう、この抱き締めたくなるような愛らしさは…。いや…だからそんなコトを考えてる場合じゃ…っ)

腕を伸ばせば簡単に抱き寄せられる位置に、刹那は立っている。
混乱する理性を保とうとしていると、アレルヤの脳裏にもう一人の声が響いてきた。
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