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□理由
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「俺の何処が好きなんだ?」
いきなり、最愛の恋人・土方が聞いてきた。
情事後の彼の体は、火照ってイヤらしく見える。
「ん?」
「いや、だから、その、あれ。俺の・・・何処が好きなのかって」
煙草に火を点けながら、照れる仕草が可愛らしい。
「第一印象は?美人?だったなぁ・・・」
「第一印象じゃなくて!それに男に美人なんてあんのかよ」
「土方にだけね。ほかの男はムサいだけ」
俺の発言の後、シーンと静まり返るこの部屋。
「・・・あ、ゴメン・・・」
「で?何処が好きなんだよ?」
こちらを引き気味で睨む土方。
「まず、美人なとこ。ここは譲れない。で、可愛いとこ、ツンデレなとこ、淫乱なとこ、
綺麗な瞳、サラサラで艶々の黒髪。透き通った声に、白い肌。ていうか、強いて言うなら全部かな♪」
さらに引き気味の土方。
「ちょ、そっちが聞いてきたんじゃん!・・・じゃあさ、土方はどうなの?」
「そそそ、そんなのッ言える訳ねぇだろ!」
テンパりながら、顔を真っ赤に染めている土方は、俺をバシバシ叩く。
「イッテ!な、俺にだけ言わせといて・・・ッ!」
すると土方は、うっと唸ると俺の耳元で
『俺も全部好き』
と、吐息混じりの低い声で呟いた。
「ま、まじ・・・?」
「もういいだろっ!」
そう言って土方は、布団の中に潜り込む。
「カァヮイイ♪」
自分で、ニヤけてるのがわかる。顔が完全に緩みきっていた。
「・・・男が可愛いなんざ言われて喜ぶわけねぇだろッ!!!!!!!」
ホントは嬉しいくせに。
「・・・じゃあさ、俺が土方を好きになった理由も教えてやろうか?」
俺が言うと、土方は布団からヒョコリと頭を出して、俯き加減で頷いた。
「・・・あ〜・・・やっぱやめた。たぶん言ったら笑うし」
「なっ!!それズルいぞ!男なら一度決めたら言いやが・・・ッ!ん・・・!」
土方が騒ぎ出すとどうなるか分からない。だから俺は、土方に口づけて土方を黙らせた。土方はこういうのに弱い。
「ん・・・ふっ・・・」
クチュクチュと室内に広がる水音。息が苦しくなり、俺たちは口を離した。
「・・・ッ!なにすんだよ!」
涎を口につけて、呼吸を整えている土方。そんな土方を俺は抱きしめた。
「・・・絶対離さないから」
「なんだよ・・・いきなり・・・」
『俺たちが似てるから』
なんて理由、言ったら絶対笑われるよね。