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□あなたのもの
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カラカラと、小気味いい音がする。
隣りにいる豪は、自転車を押しながら歩いていた。
太陽はもう沈み始めていて、その溶けた跡が残ったように空はオレンジ色に染まる。
こんな風に一緒に帰るのは初めてで、なんだか気恥ずかしくてくすぐったい。
意味も無く足元で揺らぐ自分の影を見つめた。
歩幅をいつもよりも半歩縮める。
ゆっくりと揺らぐ影をもっと見ていたくて、否、隣りに歩く豪ともっと一緒にいたくて。

「永倉!」

少し高めの声が耳に飛び込み、顔を上げた。
そこには、豪と同じ野球部に所属する吉貞、それを後ろから呆れたように見ている東谷と沢口の姿があった。
沢口はおたおたと巧のことを見ている。

「永倉くんったら、隅におけないんだからぁ〜、のぶ子焼きもちやいちゃう」

少し音を上げた声で、吉貞がくねくねと身体を揺らす。

「な、なにいっとんなら」

豪は慌てたように顔を赤らめた。
その姿にきゅん、となるのと同時にイライラする。
なにが「なにいっとんなら」だ。
お前こそ「なにいっとんなら」だろ。
俺と豪は世間でいうところの「お付き合い」をしていて、だから冷やかされたって普通にしておけばいいのに。
ばか、俺が彼女じゃ嫌なのかよ。
カチンときて、吉貞と話ている豪の腕を掴んだ。
驚いている豪を無視して、吉貞を睨み付ける。

「ふん、焼きもちやいてろ。豪は俺のもんだ」

極めつけに舌をぺろりと出し、にやりと笑った。
吉貞があっけにとられたような顔でこちらを見ている。
豪はあんぐりと口を開けた。
空いた口が塞がらない、とはこういうことなんだろうな。
苛立った気持ちが少しだけ笑みに変わった。
クスリ。
ばい、と言って突っ立っている豪の腕を力一杯引いて歩き出した。





「巧、どうしたんじゃ?らしくねぇ…」

豪は真っ赤に染まった顔で巧に詰め寄る。
なんだよ、怒ってるのか?
少し気分が悪くなり、豪をきっと睨み付けた。

「だって、豪が俺のこと彼女って言わないからだろ」

初めて一緒に帰るのに、喧嘩なんてしたくない。
でも豪が俺のことを彼女だってみんなに言わないのは、凄く嫌なんだ。
俺は豪のものなんだ、って思わせて欲しい。

「降参」

豪がぼそりと呟く。
なにが?と聞く前にゴツゴツとした大きな手が俺の頭に乗っかった。

「ゴメンな、巧。これからは、俺の彼女って言ってええんか?」

乗せられた手のひらがあまりにも熱くて、顔がのぼせる。
そんなこと豪にばれるのが嫌で怒ったような声を出した。

「あたりまえだろ!」

言葉から始まって、俺の全てを豪のものにして



END

にょたくみと豪ちんでお送りしました。
二人がいちゃいちゃしてるのを吉貞がからかえばいい!!
萌える〜

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