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□大好きな君の日
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今日は君の誕生日
大好きな君に、ありったけの愛をあげる

夕日が、新田の町一面、歩いている自分達をも赤くを染める。
部活が終わった後、いつものように豪と二人で帰っていた。
分かれ道まできた時、豪が突然俺の名前を呼んだ。
前に向けていた顔を豪の方に向ける。
豪の顔は、夕日に照らされていて真っ赤だった。

「巧、誕生日おめでとう」

そう言って豪がポケットから何かを取り出し、俺に渡す。
両手を差し出し、それを受け取った。

真っ白なボール


「じゃあな、バイ」

俺の手にボールを乗せた後すぐに、豪は自分の家の方向に歩き出した。
俺はその場から動かずに、豪からもらったボールを手の中で転がす。
すると、真っ白なボールに見慣れた文字が乗っかっていた。

『巧、これからもずっといっしょじゃっ! 豪』

胸に暖かなものが流れ込んでくる感じに、思わずボールを力強く握っていた。
真っ白なそれに軽く唇をよせる。

「豪ッ!!」

離れていく豪の背中に大声で呼び掛ける。

「キャッチしようぜ」

振り向いた豪に真っ白なボールを緩い軌道で投げた。

「そうじゃな、巧」

豪が子供っぽい笑顔で答える。
自然と頬が緩む。
豪も、真っ白なボールも、そして自分も夕日の光を浴びて真っ赤に染まった。



今日は誕生日
大好きな君からのありったけの愛が欲しい




END

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