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□森のおともだち
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「巧、そろそろ寝ようで」

ふかふかの藁を片手に持ちながら、くまごうは言いました。
眠いのか瞼が重く目にのしかかり、耳がひくひくとしています。
うさたくはくまごうが言った言葉に立った耳をさらにぴん、と立てて反応しました。
遊んでいた松ぼっくりもどんぐりもそのままに、くまごうの方に走って行きます。

「うん、寝ようぜ」

大きなくまごうの身体にドスン!と体当たりしました。
くまごうはそれを気にすることなく、うさたくを片手で抱え自分の肩の上にちょこんと乗せます。

「今日もよう遊んだなぁ」

そう言いながらくまごうはドスドスと寝室へと歩いて行きます。
くまごうとうさたくは、今日も松ぼっくりで朝から晩までキャッチボールをしていたのでした。
二人とも、眠くて仕方ありません。
寝室の扉を開け、くまごうは部屋の隅に持って来た藁をたくさんたくさん敷いていきます。
うさたくはくまごうの肩からぴょんと飛び降り、ふわふわの藁の上を飛び跳ねます。

ふかふか
ふかふか


「巧、もう寝るんじゃろ」

くまごうは、少し不機嫌そうな声を出しました。
自分がせっかく敷いたふかふかの藁をうさたくに台無しにされたのですから、あたり前です。
うさたくはしゅん、となり敷かれた藁から退きました。
くまごうは、もう一度丹念に藁を敷き直し、ドスンとその上に寝転がります。
しゅん、としたうさたくはまだそっぽを向いています。

ポン ポン

うさたくの耳がぴん、と立ち小さな音を拾いました。

ポンポン

「たくみ」

くまごうの方を振り向いてみると、くまごうは笑顔で自分のお腹を二回叩きうさたくを呼んでいます。
うさたくは走って、くまごうのお腹の上に飛び乗りました。
勢いをつけすぎたのか、小さなうさたくはくまごうのお腹の上で一度跳ね上がります。
それをくまごうが両手で押さえてくれました。
うさたくはくまごうのお腹の上にぐりぐりと額をこすりつけます。
先ほどのお詫びにのつもりでしょうか、少し尖らせた爪でくまごうのお腹の毛並みを撫で付けます。

しゃくしゃく
しゃくしゃく

何度も何度もすると、くまごうの少し硬かった毛並みは柔らかくそろっていきます。

「豪、気持ちいい?」

しかし、くまごうは何も答えてくれません。

「ごう…?」

うさたくが不思議に思い、顔をあげるとくまごう豪はすやすやと寝息を立てながら気持ちよさそうな顔で眠っていました。

『気持ちよかったってことだよな』

うさたくは微笑み、整ったくまごうの毛並みを確かめるように額を押しつけます。
耳をぺたんと下げ、うさたくはくまごうにぎゅっと抱き付いて眠りました。


おやすみなさい
いいゆめを



END
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