ハツカノ
□ハツカノ2
2ページ/2ページ
『原田さん、今日一緒に帰らんか?校門まで迎えに行くけん』
ずっとぼんやりとしていたため、すっかり忘れてしまっていた。
巧は慌てて荷物を手にとり、俊二に別れを告げる。
「瑞垣さん、急ぐので失礼します!」
巧の慌てぶりに一瞬面食らった俊二だったが、すぐに状況を理解したのかにやりと笑った。
「頑張れよ!」
慌てる巧の背中に声をかけた。
ドタドタと階段を降りる音が遠ざかっていく。
俊二が正門の方に目をやると、息を切らし彼の元に走って行く巧が見えた。
『あの姫さんがなぁ…、これから見物やな』
屋上の風にあおられたミルクティー色の髪を耳にかけながら、俊二はにやりと笑った。
next→