ご注意!

このお話は非常にパロ要素が強くなっております。

巧が女の子で、豪は研修医です。
しかも巧はちょっとした病気(?)です。
しかし、悲しいお話ではありません。
あっさり言うと「パ●と魔法の●本」をパロっています。
しかし、パロりきれておりません笑゛

こんなお話でも大丈夫という方はお進みください。
拍手お礼文なのに、こんなにパロパロしててすいません…


ちなみに、今回のお礼文は3こあります。
前回の拍手の後編です。
前回のものは、text2のothersに収納しております。








「こんにちは」

豪は中庭に座っている、真っ白な服を着た女性に声をかける。
振り向いたその顔には、不審な色が浮かんでいた。

「はじめまして、永倉豪って言うんじゃ」

膝に置いていた本をそのままに、その女性はまだ少し人見知りしつつも、「原田巧」と呟いた。


豪はここの医師に話を聞いてから、毎日巧のもとに通っている。
いつも同じ時間にそこに座り、巧は本を読んでいた。

「永倉豪、恋ってなんだ?」

この質問も、もう何度目だろうか。
豪はにこりと微笑み、もう何度も口にした答えを巧に渡す。

「ある人のことを見て、ドキドキしたり、その人のこと大切に思うことじゃ」

恋の意味を知らない巧。
記憶をとどめることのできない彼女には、一生味わうことのできない気持ちかもしれない。
胸が締め付けられるようだ。

『俺が、原田さんのことを思う気持ちじゃ、って言ったら、また怯えられるんかな…』

以前、巧の特殊な状態について何も知らず、声をかけた時のことを思い出す。
あの時の巧の怯えたような顔が忘れられない。
知らない人に、自分の名前が知れていたのだから当然だろう。
好きだ、なんて言ったら、さらに怯えさせてしまう。


高くに位置していた太陽が、随分と下の方へ移動している。
少し肌寒さを感じた。

「今日はここまでにせんか?」

熱心に豪の話を聞いていた巧が、その声に絵本から顔を上げる。
こくりと頷き、白いワンピースを少しはたいて立ち上がった。

「永倉豪、明日も読んでくれないか?」

にこり、と微笑む巧に咄嗟に返答できなくなる。
明日なんて訪れないのに、無垢な瞳で問うてくる巧。
そんな彼女を、どうしようもなく愛しく思う。
抱き締めて、好きだ、と伝えたい。
目頭が熱くなる。
くぴり、と唾を飲み込み、渇いた喉を潤した。

「…ええよ、何遍でも読んじゃる」

そう言って、豪は陶器のように澄んだ巧の頬に手を這わせた。
優しく撫でる。
巧の真っ白な頬には日が陰るのを知らせるように、夕焼けの橙色が灯る。
もうすぐ、夜が来る。


管理人に一言!



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