街道脇の茶屋
□相互記念
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ミーンミーンミーン…
「…あちぃ…」
夏の露出はひかえめに!
「くそっ…んでこんな暑いんだよ…」
そよともしない風鈴を恨めしげに見遣り、蛮骨は柱に預けていた背を縁側に倒した。
ひんやりした板が熱を吸い取っていく。
「あー…だりい。なんもやる気がしねえ」
幸い、今日の傭兵稼業は休みだ。
七人隊の皆は思い思いに久々の休日を楽しんでいる。
釣りに行く者、買い物に行く者。
蛮骨の他にゴロゴロしている者はおらず、住まいの中は閑散としている。
「……あち」
悪あがきのつもりでぱたぱたと襟を広げ、風を求める。
が、入ってくるのは生温い熱気ばかり。
更にげんなりする。
ミーンミンミンミン…
「うるせー…」
普段なら蝉の声も風情あるなあと思ったりもするだろうが、如何せん現在のような真夏の午後にはただ鬱陶しいだけ。
それでも、ぼんやり合唱を聴いているうち
「……すー」
いつの間にか蛮骨は寝てしまった。