われらが英雄!
□十九死、戦い
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オオオォォ…!
ヒ「がっ…」
鋭利な爪のある巨大な手に捕まり、ヒーローは正面から変わり果てた父親の姿を見た。
ヒ「嘘だ…これがパーパだなんて…」
忘れない。
忘れられるものか。
この姿も、顔も…!
ヒ「冥王!!」
ダン!
バ「オレが海人界にいたのは青い秘石を守るためではない」
固い地面に叩きつけられたヒーローへバラクーダが歩み寄る。
バ「天帝…やがては地上へと降り立つお前を見続けたかったからだ。お前が何を愛し、何を守りたいか…知りたかった。
それを全て打ち砕くためにな!」
バ「お前は本当に地上で多くのものを愛した。
まるで、そこが失った天上界の己の国であるかのように」
ヒ「(そうだ…だからオレは守りたかった!)」
友人、仲間、家族。
人だけでなく、森も、海も、全てを守りたかった。
海人界での戦いは絶好の機会だった、とバラクーダは続ける。
バ「オレは戦いの後、赤い玉で甦ったシンタローの体に魔王の眼を埋め込んだ。想像すると嬉しくて体が震えたよ…
お前が最も愛する者が、最も憎む冥王へと変わる姿に!」
ヒ「バ…ラクーダぁあああ!!
ぐッ!パーパ、…!」
違う。
冥王だ。
自身を掴む手も、冷たい表情も…父のような優しさは欠片も感じられない。
バ「選ぶのだ、天帝…
己のために屍となった兄達の想いか…魔性と果てた父への愛か」
その答えの出せぬ者にオレと戦う資格はない!!
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