街道脇の茶屋

□太陽の下へ
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「おはよう」
「ああ」
「頑張ろうね」


1年…奴隷にされて1年が経った。


その間に知った事と言えばこの屋敷の間取り、見張りの顔ぶれと交代時間、そして同じようにこき使われる奴隷達。

この娘はタイガーが使われ始めて直ぐに声を掛けてきた非常に珍しい部類の人間だ。

ヒューマンショップの売人でも進んで彼に近寄ろうとする人間は居なかったというのに。


「貴様!手を止めるな!」

バシッ!

風切り音と共に響く悲鳴。

奴隷達は一様に体を強張らせ、黙々と作業を続ける。

耳だけは不幸な奴隷と見張りのやり取りに向いていた。


「すみません…熱があって、」
「貴様の体調など知るか。――使えん奴は死ね」
「「「!!」」」
「す…すみません!働きます、働きますからっ…殺さな」

ドドンッ!

どさっ。

「フン、代わりは幾らでもいるんだ。そこの魚、コイツを捨ててこい」
「………」


返事はしたくない。

無言の内にタイガーが未だ温かい死体を持ち上げると、


バキィッ!

「ウ…っ」
「返事をせんかクズが!」


蹴りが飛んできた。
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