街道脇の茶屋
□相互記念
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「帰りました。……おや?」
用事で出ていた睡骨が戻ると、家の中からは何の返事もない。
なんと不用心な、と思いつつも人の気配を辿っていけば――
「蛮骨…ああ、寝ていたんですか」
ちょうど日陰になっている縁側で首領の青年は寝息を立てていた。
「…………」
ごくり、喉が鳴る。
汗ばんだ肌に肌蹴た襟。
寝苦しいのか僅か顰められた眉。
精悍かつしなやかな四肢は睡骨が思わず唾を飲んだほど瑞々しく、
「…襲ってくれと?」
無為に、投げ出されていた。
する…
そっと日焼けした肌に手を滑らせる。
弾力のある肌の下に鍛えられた筋肉が感じられた。
なんだかんだ言っても庸兵の頭目なのだ。
常に気張っていなければならない彼が、今は無防備に眠っている。
――我慢出来そうにない
微かに嗜虐心が頭をもたげた。