02/18の日記
18:30
ラバー ライク ブラザー
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クロロ
「おい、」
「ナンデスカ」
それは異様な光景だった。
オールバックに裸にコートの男と、頭に紙袋(目の部分は穴が開いてる)をかぶる女。
2人がいる場所は廃屋で、とても恋人の逢瀬にぴったりの穴場とはいえない。
そこで2人は会話をしていた。
「なぜカタコトなんだ。とっととその奇怪な被り物を脱げ」
「裸コートヤローに言われたくない!これには深い理由があるんだから」
「なんだよ、理由って」
「……言わない」
紙袋の端をしっかりと握りしめる。裸コートヤロー、もといクロロは怪訝そうに見つめた。意図が読めない、とつぶやいて。
「言わないなら、紙袋を盗るまで」
「くっ…力が強いからって卑怯だ!」
力業になったらかなうはずがない。くそう、なんで今日に限ってホームにクロロと居残りなんだ。というか、なんで今日仕事なんだ。
「まったく。何なんだ、理由を言え。どうした?」
苦手な低い声。
脳髄まで響いて、力がゆるむ。この男はとことん卑怯だ。
「…………前髪が、」
「──前髪が?」
「……切りすぎたのっ」
観念してクロロから顔そらし、部屋の隅に逃げる。クロロはぽかんと私を眺めている。
私の前髪は今、半端じゃない。
眉上3センチほどになってしまったのだ、自らの不器用さのせいで。こんなことならマチかパクに頼めばよかった、なんて後悔先に立たず。ああ、せめてクロロにだけは見られたくない。思いあまって被ったのがこの紙袋なのだ。
「くだらん」
「!」
「なにが前髪だ。そんなもの、気にしてどうなる」
「………っ」
「本当にくだらない」
くだらない。
その一言が、突き刺さったようにこだまする。クロロのどあほ。どうしてそこまで冷たいんだ。古めかしい哲学の本を読むくらいなら、乙女心が分かる雑誌を読め!
「そんなもののせいで、俺は今日会ってからの3時間、お前の顔が見れていないんだ」
突然クロロは立ち上がった。
かつかつと私に近寄り、ガサリと紙袋に手をかける。一瞬の抵抗もむなしく、あっさりと被り物はむしりとられた。
「や、やめ!」
ばさ。
「なんだ、変わらないじゃないか」
「どこが!どこが!!これだけ切ったのに変わらないって、」
「あぁ、1つ変わったさ」
「………なによ?あぁ、そう!今までより不細工になったって言いたいんでしょ!」
「違う」
クロロは開放的になった私の額に唇を押し当てた。
「ほら、髪をあげなくとも、おやすみのキスが出来るだろ」
にこりと笑ったクロロ。
やっぱりこの男はとことん、卑怯だと思った。
(おやすみのキスなんて、別に、)
(うそつけ。お前が4歳くらいの頃には、それをしなきゃ─)
(わー!!黙れ裸コートヤロー!過去は過去、今は恋人だもん!)
ラバー ライク ブラザー
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なんかクロロおかしくてごめんなさい。
設定的には、兄みたいな恋人。まあタイトルどおりなわけでして…はい、すみませんでした。
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