02/22の日記

00:22
幸せってなんだっけ
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イルミ



幸せが何か分からないって言うイルミを、酷く小さくて弱い生き物に感じた。
私よりもずっと戦闘能力に長けていて、背だって高くて、それなのに。


「イルミ、この飴あげるよ」


「なに、これ」


私が差し出したイチゴミルクの飴を、訝しげに見る。


「イルミに幸せって何か教えてあげようかな、と」


「…ふーん。お前の幸せってこんな飴?安上がりだね」


「安上がりでも幸せは幸せだから。まずは小さいのから始めようかなってさ」


食べてよ、と促すとイルミは包み紙を開いて口に入れた。


「幸せ?」


「分からない。」


正直にもそう言う。


「甘くない?幸せって甘いんだよ」


「へえ、そう。この飴は確かに甘いけど、それは味覚の問題だろ。舌を千切れば幸せは無くなるね」


「……イルミってばグロテスク」


「本当のこと言っただけでしょ。」


ころころとイルミは口内で飴を転がす。かりっという音もかすかに聞こえる。
甘い匂いが私をも取り巻いた。
その匂いに誘われるかのように、私は呟いた。


「じゃあ………私と一緒にいるのは、幸せ?」


あ。

…ちょっとまずい。
これって結構核心つく質問かもしんない。
イルミの答えによっては、かなり傷つくかも。私。
甘いのは匂いで、彼じゃないのだ。


「……分からない。」


ああほら、


「でも、」


でも?


「お前といると、時々暗殺者だって忘れるから困るよ。頭、融けるみたいに。」



ねえイルミ、それが幸せなんだよ。
そう言いたかったのに、こみ上げる何かが私の口を閉ざした。



(知らないあなたに教えてあげる)
幸せってなんだっけ

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