02/27の日記

23:58
懐郷病のシンデレラ
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クロロ



気付いたら、あいつのことばっかり。

黄色を見てはあいつの好きなプリンを思い出したり、黒髪の人を見てはあいつの姿が浮かんだり、盗みのニュースを聞くと旅団の文字を探したり。

もう厭なの。

流星街からやっと抜け出した。
貧乏なんかに支配されずに、これからは自由に生きていくんだって。
もう誰も何も、私を支配出来ないはずなのに。


それなのに、今日も私は五感全てであいつを探すの。
目の前にはあれほど憧れたネオンのきらびやかな街が広がっているというのに、私が見たいのは夕日に染まった塵の街。


私の見た目に寄ってくる男たちのおかげで、こんなにも高級な衣服を身にまとっているのに。
あの頃とは違う、綺麗な布地。


ああ、どうして?


私は今日も、黄色やら黒髪やらニュースやらに振り回されるのよ。


ねえ、どうして?


もうずっと会っていない。
あれがさよならだなんて認めない。

欲しいものがあるのなら、それがあるところまで、私を一緒に連れて行ってよ。



「…ねえクロロ、」



涙声は、ネオンの光に溶けていった。



懐郷病のシンデレラ
(お城なんか要らないの、あなたがいる廃屋だけで)

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