呪泉郷★斬魄刀★陽海
□月夜に舞う蝶
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今宵は中秋の名月。
明るい満月の下で、女が扇子片手に日本舞踊を舞い踊っている。
十番隊隊舎の個室で、ただ一人きりで。
十番隊副隊長…松本 乱菊、色香漂う妖艶美女。
誰に披露するでもなく…
舞い踊った後、動きが止むと何処からか拍手が。
「誰!?…ギン!」
襖の向こう側から顔を覗かす三番隊隊長…市丸 ギン。
「さすがに特技だけあって、よー出来とりました!」
「何?からかいに来たの?」
乱菊はギンの姿を確認した後、再び背を向けて座り込んだ。
「それもあるんやけど、乱菊が月見の宴おらんかて、霊圧探ってここに来たんや」
「?どうして…私を探したの」
「ほれ!」
ギンはお供えのお団子とススキを差し出す。
「お月見…?」
「せや、乱菊としようと思うて。」
お団子とススキを供え、ギンは乱菊の隣に座る。
「何で私と…?」
喋りかけた乱菊の口をギンは干し柿で塞ぐ。
乱菊は一口かじり、
「美味しい」
と、呟いた。
「乱菊。質問ばかりやな。他にも聞きたいことあるん?」
乱菊は照れた様子で頷いた。