禁書CP3

□最高の笑顔を
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当麻の周りは賑やかだった。
いつま彼は皆の中心にいる。
そして、楽しそうに笑っているのだ。
それがステイルにとっては面白くなかった。
だが、そう思ってしまう自分が一番面白くなかった。
つまらない独占欲だ。
自分のためだけに笑ってほしいと思ってしまうなんて。
そんな事、無理に決まっているのに。
しかし、好きな人とは常に一緒にいたいと思ってはいけないのだろうか。


(ただでさえ、なかなか会えないというのに。)


ステイルは八つ当たり気味にジュースを一気に飲んだ。


「どうしたんですか、ステイル。」


不意に声をかけられた。


「神裂。」

「せっかくのパーティーです。楽しみませんか?」


神裂は持っていたグラスを軽く揺らした。


「・・・そうだね。」


ステイルは頷く。
せっかくのパーティーだ。楽しもう。
当麻も楽しんでくれればいい。
ステイルは当麻の笑顔が好きだから、そう思う。
自分の勝手な独占欲で彼の笑顔を奪うより、彼には自由に笑ってほしい。


「ステイル!この料理は絶品なりけるのよ!」


ローラは料理の皿を片手に勢い良くやってきた。


「ステイルも食べるべしなるのよ!」


ローラが牛肉を刺したフォークを突き出すので、ステイルは思わず食べてしまった。
いつも当麻にされているので、癖だ。


「・・・まぁ、美味しいですね。」


やわらかく、噛むごとに口の中に味が広がる。
ステイルはローラに同意するように頷いた。


「ここの料理は本当に美味しいですからね。」


神裂も微笑んで頷く。


「・・・ステイル。」


声と共に突如、手首を掴まれた。
先程まで向こうに居たはずの人物にステイルは驚く。


「ちょっと風に当たりてーんだけど、付き合ってくれね?」

「あ、ああ。」


自分に向けられた申し訳なさそうな笑みにステイルは頷いてしまった。


「じゃ、あっちのテラスに行こうぜ。」


ステイルはそう言った上条当麻につれられて、会場の隅へと向かった。
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