禁書CP3
□Magic of holy night
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「君、大丈夫?」
当麻がぶつかった相手は危なげなく、当麻を支え、声をかけた。
「す、すみません!」
当麻は慌てて、その人から離れ、頭を下げた。
「いいよ。君に怪我がないなら、それで。」
その人は柔らかい言葉で、当麻を許す。
「今日はクリスマスなんだしね。」
当麻は顔を上げた。
その人は、白銀の髪を持ち、真っ赤なコートを着ていた。
瞳の色は緑。明らかに日本人とは違う、異国の容姿だった。
雪の様に美しい女性。
「クリスマスにはたくさん、善い事をするべきね。たくさん、たくさん。どっかの宗教では善行により、救われるらしいしね。」
不意に女性の目が煌めく。
「そう、たくさん。」
「・・・俺の不幸も、救われたらいいんですけどね〜。」
当麻は思わずため息をついた。
自分が善行をたくさんしているとは言わないが、悪行もしていないはずだ。
「え・・・洗脳が・・・。」
「へ?センノウ?」
女性の驚いた顔に、当麻は目を瞬かせる。
「ステイル!人払いのルーンを!」
「分かっている!」
神裂とステイルの鋭い声が走り、女性は身を翻らせて、駈け出した。
「上条当麻!追い掛けるぞ!!」
ステイルに怒鳴られ、当麻は反射的に駈け出す。
「どういう事だ!!」
走りながら、当麻も怒鳴る。
「彼女は魔術師だ!」
そのステイルの一言で十分だった。
当麻は走るスピードを上げ、女性を追いかけた。