禁書CP3
□Magic of holy night
3ページ/4ページ
「くそっ!見失った!」
当麻は立ち止り、辺りを見回す。しかし、あの女性の派手な姿はもう何処にも見当たらなかった。
「・・・チッ。」
一緒に走っていたステイルも苛立たしげに舌打ちをし、煙草に手を伸ばしている。
「どうしますか?あいつが何かを企んでいるのは、確かですよ。」
神裂は険しい顔つきで、なおも女性がいないか辺りを見回している。
「まずは術式を壊した方がいいかもー!」
ステイルに抱えられていたインデックスが声を上げた。
皆の目が一斉にインデックスへと向けられる。
「これは行為義認を利用したものかも。」
「・・・こーいぎにん?」
インデックスの言った、聞き慣れぬ言葉に当麻は首を傾げた。
「敬虔主義の1つの教えですね。」
当然のように神裂は知っているのか、さらりとそう言ってのける。
「敬虔主義とは、ルター主義に対抗するために作られ、1690年頃〜1730年頃にかけてドイツのプロテスタント教会を支配した傾向です。」
なお首を傾げる当麻に、神裂は説明を始めた。
「行為義認とは、その中の教えの一つで、敬虔な心を行為において実証する事、つまり知的ではなく実践的信仰を重んずること。」
「・・・それって、けっこう良いことじゃないのか?それがどうやって学園都市に危害を加えるんだ?」
敬虔な心を行為において実証する事。それは魔術師の女性が言ったとおり、善い事をするという意味なのだろう。