禁書CP3
□Magic of holy night
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商店街にはたくさんの人がいた。
そして、その中でも赤い服を着た人は多かった。
「くそっ!これじゃ、判別がつかねーぞ!」
「彼女は赤い服を着て、白い髪だった。それで赤い帽子でも被れば、サンタクロースだからね。」
ステイルのその発言に当麻の足がピタッと止まった。
そんな当麻を怪訝そうに見ながらも、ステイルは止まってくれた。
「・・・なぁ、そういえばあの魔術師ってどこの国の出身なんだ?」
当麻の質問の意図が察する事ができなかったようで、ステイルは首を傾げる。
「日本語のイントネーション、肌の色から推測すると、北欧じゃないかい?」
しかし、ステイルは一応という感じだが、答えてくれた。
「北欧にも、キリスト教ってあるのか?」
「あるよ。形はイギリス清教とは違うだろうが、キリスト教は全世界にあるからね。」
「・・・行為義認ってキリスト教の教えなんだよな?じゃあ、なんで、あの魔術師は『どっかの宗教では善行により、救われるらしいしね。』なんて言ってたんだ?」
「それは、自分がキリスト教の者だって知られたくなかっただけじゃ・・・・いや、しかし、もしかしたら・・・。」
ステイルは何かに気付いたようで、小さく呟きながら考え込む。
その時、当麻は目の端に捉えた。
慌てて振り向き、その姿を完全に視認する。
「いたぞ!」
ステイルにはその言葉だけでよかった。
当麻と同時にステイルは駈け出す。
彼女も見つかった事に気付いたのか、走りだしていた。
今度は見失わないようにと必死に2人は追いすがる。
「なぁ!あいつってサンタクロースじゃないのか!」
「はぁ!?君は何を言っているんだい?」
走りながらの俺の突拍子もない言葉に、ステイルは眉をしかめる。
自分でも突拍子もないと思っているのだから、ステイルの反応は当たり前だ。
「だって、あいつは北欧だろ!それに赤い服に白い髪!眼は確か緑でクリスマスカラーぴったりじゃねーか!」
「君はサンタ村があるフィンランドが彼女の出身だと言いたいのかい!そんな安易な・・・。」
ステイルがハッと気づいた表情になる。
そして、苦虫を噛み潰したような顔で、舌打ちをした。
トゥルルルル トゥルルルル
その時、タイミングを狙ったかのように携帯が鳴った。
彼女はとある建物の中に入り、階段を上って行く。
走るのに必死で、当麻は相手を誰か確認せずに出る。
『とうま!!』
電話の相手はインデックスだった。その彼女が切羽詰まった声で当麻の名を呼ぶ。
『騙されたかも!』
「何っ!?」
インデックスの次の言葉に当麻は共学で目を見開いた。
ようやく階段を登り切り、当麻たちは建物の屋上へと着いた。
その屋上の中央で、彼女がこちらを向いて悠然と立っていた。
『ポスターは見つけたんだよ!術式も完璧に書かれてる!だけど・・・。』
電話から漏れるインデックスの声でも聞こえたように、彼女は笑った。
『魔力をまったく感じないんだよ!』