禁書CP3
□君は何を観たい?
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コンビニを出て、さて、と一方通行は考える。
ペアチケットとは言え、別に一人行ってもいいだろう。
何を観ようか。
まず、何をやっているのか調べるべきだろう。
そう考えて、一方通行はチケットをポケットにしまった。
アジトのパソコンで調べてみればいい。
(偶然とはいえ、俺が映画とはなァ。)
裏の人間が悠長にこんな事をしていていいのだろうか。
(まァ、なンとかなるだろう。)
降って湧いた暇潰しの方法。
十分に活用しなくては。
「聞いたよー!ってミサカはミサカはあなたに思いっきり抱きつこうと猛ダッシュをするー!」
「っ!?」
猛スピードで近付いてきた何かを一方通行は思わず避けた。
「げふっーってミサカはミサカは盛大に転んだー!!」
言葉どおりに転んだ打ち止めは目に涙を浮かべながらも立ち上がった。
「酷いー!ってミサカはミサカはあなたの仕打ちに抗議してみたりー!!」
「杖を突きながら歩いてる歩行者に、普通あンなスピードで向かってくるかァ?そのちっこい脳みそに交通ルールを叩きこんでやろうかァ?」
「愛にルールなんて無用!ってミサカはミサカはどこかで聞いた事のあるフレーズを言ってみたりー!」
「てめェーのは絶対に愛じゃねェ!殺意だろうがァ!」
「殺したいほど、愛してるって言うよ!ってミサカはミサカはまたもやどこかで・・・。」
「それはもういいだろうがァ!同じギャグを2回もやるたァ、三下以下の芸人だなァ。激しい突っ込みがお好みなら、学園都市最強の力で、やってやろうかァ!」
「キャー!ミサカはミサカは身の危険を感じて、電極に使ってるミサカネットワークを切る準備を満タンにしてみたりー!」
「っ、テメェ!卑怯だぞ!」
「悪者ぶってる人に言われたくないもーん、ってミサカはミサカはアッカンベーをしてみたりー。」
「一方通行、子供と喧嘩なんて大人げないにゃー。」
いきなりの第三者の言葉に、一方通行も打ち止めもビクッと肩を震わす。
一方通行に至っては、この場面を絶対に見られたくない人物だったので、さっきまでの自分の行いを自己嫌悪した。
「で、なんで喧嘩してのかにゃー?」
土御門は胡散臭い笑みを浮かべて、打ち止めに優しく問いかけた。
「そうだよ!ってミサカはミサカは思い出したりー!」
打ち止めはポンと両掌を打ち合わせると、満面の笑顔になった。
「ミサカも映画に行きたいって言ってみたりー!」
「あン?」
「黄泉川から聞いたんだよってミサカはミサカは説明するー。あなたが映画に一緒に行く相手を探してるってミサカはミサカは聞いた内容を言うー!」
「・・・・・。」
思わず一方通行は沈黙してしまう。
とにかく、今度会ったら黄泉川に文句を絶対に言おうとだけ心中で決心する。
「あのね!ミサカは子猫物語が観たいって自分の主張を全面的に押し出してみたりー!」
「・・・・却下。」
「えー、てミサカはミサカは不満に頬を膨らませてみたりー。」
そんな可愛らしいもの観たくない、と態度でも表すために一方通行はさっさと歩きだした。