禁書CP3

□小ネタ集
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あくまでもパロディです。
原作設定を完全に無視しています。



「魔術を使う魔法名というよりむしろ―――殺し名かな?」

「カット!!お疲れさまでした。確認入ります。」
「じゃあ、休憩で、30分後にシーン43いきます!」
様々な声がスタジオ内に飛び交っていた。
監督、脚本家など、重役たちがカメラの前に集まり、何やら真剣な話をしている。
そして、先ほどまで声を上げ、駆け回っていた俳優たちは、やれやれと思い思いの休憩場所へと向かった。

ここは―――ドラマ・とある魔術の禁書目録の撮影現場

シーン42の撮影を終えたステイルは、思いローブとマントをスタッフに預け、喫煙所へと来ていた。
屋内の撮影は好きな場所でタバコが吸えないのが、たまに傷だ。
「あ、ステイルさん、お疲れ様です。」
と、そこへ、シーンで共演していた当麻が、ゆったりとした足取りで来た。
「君もお疲れ。さすが、監督期待のエースだね。新人にしては、いい演技だ。」
「そ、そんな事ないです。ステイルさんの方が遥かに凄いですよ。」
そう首を振りながら、当麻はステイルの横へとベンチに腰掛ける。
「もう手探りだらけで、撮影中なんて頭真っ白で、がむしゃらですよ。」
当麻は苦笑し、頬を指で掻く。
「いいんじゃないかな。作中の当麻らしくて。」
「・・・そうですね。」
「僕なんて、このなりで14歳設定だからね。大変だよ。」
「まったく14歳に見えないですけどね。」
「これでも仕草を少し子供っぽくしたりしるんだけどね。」
ステイルはタバコを吸っている事から分かる通り、二十歳以上だ。
今年、22歳になった。
「お互い、大変ですね。」
クスリ、と当麻が笑う。
「ああ、そうだね。」
ステイルもつられてほほ笑んだ。
「あ、そろそろ行かないといけないですね。」
当麻が言うので、時計を見てみると、もう開始10分前だった。
ステイルは、タバコを消して立ち上がろうとする。
ふと、当麻の挙動不審が目に入り、その動きが止まる。
なぜか、彼はキョロキョロとあたりを見回していた。
周りには誰もおらず、ステイルと当麻2人きりだ。
「・・・よし。」
当麻がよく分からない気合いを入れる。
そして、突然、頬にキスをしてきた。
「・・・が、頑張ってください!」
頬を真っ赤にして、当麻が叫ぶように言う。
「これは・・・どういう事大?」
尋ねると、当麻はきょとんとし、慌てて言い訳を始める。
「つ、土御門がイギリス風の激励って聞いて・・・。」
あの俳優はヒトをからかう事で有名だ。
「・・・クスッ。」
からかわれる程単純な当麻が面白く、ステイルは思わず笑ってしまった。
当麻が困惑顔を浮かべる。
日本人にとって、キスは非日常だ。
相当の勇気が必要だっただろう。
「・・・Good luck.」
その勇気に免じて、そのイギリス風の激励なるものを贈ろうではないか。
呟き、当麻の額にキスをする。
面白いくらいに当麻の頬が赤く染まった。
「じゃ、遅刻しないように。」
ステイルは、そう当麻の肩を叩き、スタジオへと向かった。


「・・・〜っ。」
憧れだった。
ステイルは子役時代から、当麻の憧れだ。
彼を見て、俳優になりたいと思ったのだ。
そんな彼と共演でき、しかも、激励された。
キスとともに。
「やべーな・・・。」

憧れが、今、好きに変わってしまった。
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