禁書CP3

□空にかかる・・
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「早く!早く!」


インデックスと当麻は雨の街を傘も差さずに駆け抜ける。


「だから、どこに行くんだよ!」


当麻が何度もその問いをしても、インデックスは答えず、止まらない。


「早く!」


何か切羽詰まった声で、インデックスはそう言って、走り続ける。
しかし、その顔には・・・。
期待があった。


「こっち!」


インデックスは1つのビルの中に入り、迷わずエレベーターへと向かった。
そして、屋上へ。
雨はまだまだ降り続けていた。
大粒の涙が空から次々と落ちてくる。
その中、インデックスはフェンスに駆け寄り、じっと一点を見つめた。
何が何だか分からず、当麻はため息をつきつつ、インデックスの横に立ってフェンスの外を眺める。
学園都市の街並みが見えた。
そう言えば、こうやって高い所から改めて学園都市を眺めるのは初めてで、新鮮な感じがした。
7月以降の記憶の中での初めてだが。


「おい、インデックス。そろそろ帰らねーと風邪ひくぞ?」


そう声をかけるが、インデックスはじっと一点を見つめ続け、振り返りもしない。
何を見ているのだろうと、インデックスの視線と合わせて街並みを見るが、特に何もなかった。
あるのは、灰色の街並みと灰色の雲だけ。
それでも、インデックスはその灰色を見つめ続ける。


「・・・あ。」


気付き、当麻は空を見上げた。
雨が止んできたのだ。
インデックスの視線に慰められたのか、空は泣く事を止めた。
そして、光が溢れ始めた。
当麻はそれを感じ、後ろを振り返る。
どうやら、自分達は太陽を背にして立っていたようだ。
灰色の雲がどこかへと行き、晴れ間が広がった。
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