禁書CP3

□踊りたい
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オルゴールの上で人形が踊っていた。



「む〜ってミサカはミサカは凝視するー。」


黄泉川に頼まれた買い物の途中、打ち止めが1軒の店のショーウィンドウに張り付いた。
一方通行は呆れながらも、気になったのか打ち止めが熱心に視線を送るものへと自分も視線を向ける。
それはオルゴールだった。
ガラス越しでどんな曲を鳴らしているのかは分からないが、音を鳴らす機会が露出して見えているため、それがオルゴールだと分かった。
オルゴールは四角い形をしており、小さなオルゴール部分以外は、舞台だった。
バレリーナの人形が踊るための。


「・・・何凝視してンだァ?」


打ち止めの様子から、理由はなんとなく分かった一方通行だが、それを認めたくてわざわざ訊いてしまった。
どうせ、ミサカはこれが欲しい!とでも言うのだろう。
さて、そう言われた時、どうやって諦めさせようか。
一方通行は答えを聞く前から頭を悩ませる。


「・・・可哀想かもってミサカはミサカは呟いてみる。」

「あン?」


意外な言葉に一方通行は怪訝そうに打ち止めを凝視した。
それに気付かずに打ち止めは言葉を続ける。


「だって、こんな狭い場所でしか踊れないんだよってミサカはミサカは両手を使って、場所の狭さを表してみたり。」


打ち止めの手と手の間はとても狭い。
人形が踊れるだけの幅しかない。
踊ると言っても、クルクルと回るだけしかできない。







オルゴールという狭い舞台で踊り続ける彼女は可哀想
学園都市という狭い舞台で踊り続ける彼らは可哀想
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