禁書CP3
□たまには、やってみよう?
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「お姉様は少し、素直になるべきなんじゃありませんか?」
突然、黒子にそう言われて、美琴は目をパチクリとさせてしまった。
本当にいきなりだった。
前後の会話の脈絡もなしにその言葉は黒子の口から出たのだ。
「・・・・・・はい?」
美琴は間の抜けた声を出し、黒子を唖然と見た。
「ですから、お姉様は素直になるべきだと。」
黒子は先程と同じ意味の言葉を繰り返す。
その言葉は聞こえた。
意味も分かる。
分からないのは、なぜこのタイミングでその言葉が言われたかだ。
唖然としすぎて、無言だった美琴をどう取ったのか、黒子が再び口を開く。
「ですからー、お姉様はそうツンツンとされずに、ストレートに好きだ、愛しているだと・・・。」
「うっるさいわね!!!別にあんたには関係ないことでしょうがー!」
黒子の言葉に美琴は真っ赤になって怒鳴り返した。
そんな事、言われなくても分かっている。
いつもいつもツンケンとした態度を取ってしまって、彼には不快な思いをさせてしまっているのは分かっているのだ。
しかし、これは性格の問題で、それに、彼の前だと緊張してしまって・・・その・・・。
「とりあえず、やってみたらどうですの?」
黒子が耳に当てていた手をはずしながら言った。
「や、やってみる?」
美琴は首を傾げる。
それはいったい、どういう・・・。
「ええ、試しに言ってみたらどうですの?好きだって。」
「い、言えるわけないでしょ!!!」
美琴は赤かった顔をさらに真っ赤にして、首を横にブンブンと振った。
「そうですか・・・。」
黒子はそう言うと、考え込み始めた。
その姿を見て、美琴は軽く感動を覚えた。
自分のために後輩がこんなにも考えてくれている。
友人以上恋人未満な彼と美琴。
この2人を必死で応援しようとしてくれている。
「く、黒子・・・。」
ありがとう、と美琴が言おうとした時、バッと黒子が顔を上げた。
「でしたら・・・!!」
その顔は溢れんばかりの輝きに充ち溢れており、美琴は盛大に嫌な予感に駆られた。
「私がお姉様の代わりに、お姉様に愛していますと、言って差し上げますわー!」
瞬間、黒子が空間移動した。
どこに行ったかと、美琴は部屋中を見渡す。
しかし、いない。
「お、ね、え、さ、ま〜〜〜〜〜!!!」
「上かー!!!!!」
キャーーーー!っという美琴の悲鳴が響き渡り、ドンッと何かが倒れる音がした。