禁書CP3
□一番を一番に
1ページ/5ページ
「遅い・・・。」
会って第一声はこんな不機嫌な言葉だった。
「う・・・ごめんなさい。」
今日も今日とて、不幸な目に遭い、遅れてしまった当麻なので、謝るしかない。
「でも、待っててくれて、ありがとな!」
しかし、それが嬉しくて、ステイルに満面の笑みを当麻は贈った。
「君はここまで数十分だろうが、僕はわざわざイギリスからここまで来たんだからね。君はそこをよく理解しているのかい?」
だが、不機嫌で呆れた声をステイルに聞かされて、当麻は落ち込む。
「たとえ、日本での任務のついでだとしても、俺とデートしてくれる事は感謝で嬉しいので、遅れてすみませんでした。」
「・・・本当についでだよ。」
なぜかステイルは念を押すようにそう言った。
「ん?お、おう。」
訳分からず当麻は頷く。
「あ、でも、任務って事は滞在期間とかって決まってんのか?だったら、わざわざ俺のために任務を早めに・・・。」
「それ以上言うと、燃やすよ?」
「すみませんでした。」
懐から取り出されたステイルのルーンに、当麻は即座に頭を下げる。
「・・・へへっ。」
「何だい?気持ち悪い笑い声を出して。」
「気持ち悪いって、ひでぇ!」
思わず大声を上げて、当麻はショックを受ける。
「で、急にどうしたんだい?」
しかも、軽くあしらわれてしまった。
「・・・いや、ただ、やっぱりステイルの事、好きだなーって。」
当麻は再び、幸せそうに笑い、そう紡いだ。
「・・・うるさい。」
それに対して、ステイルは顔を赤くして、照れ隠しのように言う。
「ステイルの事、大好きだぜ!」
「・・・僕もだよ!」
当麻は幸せそうに笑いながら、ステイルは顔を赤くしながら、歩きだした。