禁書CP3

□落し物
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「お?」


8月12日、上条当麻は1つの落し物を拾った。
家へと持ち帰り、その落し物をよく確認してみる。
ラミネート加工された、カードだった。
勘のいい読者ならば、これだけで誰の落し物か分かるだろう。
もちろん、そのカードには火を意味するルーン文字が書かれている。
そう、その落し物はステイル=マグヌスが落としたものだ。
先の三沢塾での戦闘の際に使ったものが、残っていたのだろう。
そして、たまたま三沢塾の近くを通った当麻がそれを拾ったというわけだ。
当麻はカードを右手で触れないように気をつけながら、カードを観察する。


「へぇ〜、こう見ると、ただのカードなんだな。」


魔術的な意味のあるカードとは言え、学園都市にはこのカードに魔力を送る者はいない。
ゆえに、なんの変哲もないカードがそこにあるだけなのである。


「・・・一応、拾った事を連絡してみるか。」


当麻はカードを机の上に置き、携帯電話を手に取った。
もしかしたら、カードを落としてしまったことを困っているかもしれない。
学園都市という科学に溢れたこの場所に取り残された魔術のカード。
なんの変哲もないカードとはいえ、こんな場所に取り残しておくことは不満を覚えるものだ。


「あ、そういえば、連絡先とか分かんねーや。」


根本的な事に気づき、当麻はため息をついた。


「どうするっかな〜。」


困った顔で、当麻は携帯を見つめる。
見つめたところで、何も解決できないのだが、つい見つめてしまう。
と、その時、携帯が鳴った。


「わっ!」


突然の事で、当麻は驚き、携帯を落としてしまう。
しかし、座った状態で落としてよかった。
もし立った状態なら、落とした拍子に携帯を壊すという不幸を起こすのが当麻だからだ。
当麻は慌てて携帯を拾い、ディスプレイを確認する。
ディスプレイには「非通知」の文字が。
当麻は怪訝に思いながらも、しつこくなる携帯に慌てて通話ボタンを押した。


「はい、もしもし。」


典型的な挨拶で当麻は電話に出る。
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