禁書CP3

□鮭弁当から始まるロマンス!?
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「・・・あ。」

「・・・お。」


それはある日の事、たまたま寄ったコンビニ。
いつものように夕御飯に鮭弁当を買おうとした時の事。
誰かと手がぶつかった。
麦野は思わず声を上げて、その誰かを見る。
パッとしないどこにでもいるような高校生の男子だった。


「・・・譲るわよね?」


ニッコリと笑ってそう言っていやると、そいつはハッと我に返り、コクコクと頷いた。
麦野が鮭弁当を取り、レジへと向かう間中、そいつは麦野の事をずっと見ていた。
もしかしたら、一目惚れされたのかも。と戯れに思ってみる。


(そんな事、あるわけないか。)


自分の容姿の良さは自覚はしているが、そうそう自信過剰になるものでもない。


(どうせ、スキルアウトとか、レベル5に憧れてる奴の誰かでしょ。)


麦野は学園都市に7人しかいないレベル5であり、少々名と顔は知れ渡っている。
注目されてしまうのは仕方がない事だ。


「・・・でも、こういう状況は面倒で嫌だけどねー。」


麦野はハァとため息をついた。
コンビニを出て、少ししてから入った路地裏。
そこには見た目からして明らかに不良って感じな女子高校生が集まっていた。


「やっほー、原子崩し。」


しかも、偶然集まっていたのではなく、麦野を待ち伏せしていたようだ。


「ねぇ、あんたのこと、殺していー?」

「私達、白百合がさー、そうすれば、天下がとれるわけー。」


白百合とは彼女達、スキルアウトのグループ名か何かだろう。
正直どうでもいいが。
ちょっとだけ良い気分だったのだが、それが一気に急降下した。
麦野はニヤリと笑い、言う。


「お相手してあげようじゃ、」

「はいはいはい、女の子同士の喧嘩なんて止めような、な。」


麦野の開戦の言葉を妨げたのは、一人の男の声。


「え?」


思わず麦野は唖然としてしまう。
その声の主はさっきコンビニで会った高校生だったからだ。


「・・・なに、マジでウザいんだけどー。」

「ちょう、KYじゃねー。」

「こいつも一緒にやっちゃうー?」


女子高校生が邪魔された事に、不穏な空気を発し始める。


「ヤバッ!逃げるぞ!」


そこで、その高校生がとった行動は敵前逃亡、良く言って、戦略的撤退。
どっちにしろ、情けない行動ではあった。
高校生は、麦野の手を躊躇なく取って、路地裏から駈け出した。
それを女子高校生の声が追い掛けてくる。


「あ、待ちな!」

「うわっ、マジうぜー!」

「・・・ヘタレ萌?」


最後の女子高生の言葉が意味分からなかった。
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