禁書CP3
□すれ違っても
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走る、走る、走る。
ものすごいスピードで少女が走っていた。
そのスピードにすれ違った人は一瞬目を見開くが、走っている少女を確認して、人々は納得した。
学園都市第3位のレベル5、御坂美琴。
なんだ、彼女か、と。
「ハァッ、もうっ、最悪っ!」
美琴は悪態をつきながら、人々の間を上手くすり抜けていく。
今日はとある人物と会う約束があるというのに、後輩に捕まってしまい、なかなか追及を逃れる事ができなかったのだ。
いや、約束があるからこそ、捕まってしまったのだろう。
『私というものがありながら、誰と会うおつもりですの!あの類人猿ですか!?』
後輩である、白井黒子の言葉を思い出し、美琴は思わずため息をついた。
相変わらず、少々鬱陶しい後輩である。
でも、そんな後輩でも、美琴の大切な人の一人である事には違いない。
それでなければ、一緒にいるわけがない。
「でも、今回は、譲れないのよ、ね!」
黒子も大切な存在だが、それ以上に今回会う人はもっと大切な存在なのだ。
いろいろ頭に浮かべている内に待ち合わせの時計台が見えてきた。
そして、その時計台の下には目的の人物がいた。
「とう・・・。」
声をかけようとして、すぐに美琴は言葉を飲み込んだ。
足もそれと同時に止まる。
彼が見知らぬ女性と話していた。