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□桜散りゆくその下で。
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並盛中学校。
そこに潜む影――

「で、何をしているの?」

突然声をかけられて、影は驚く。
振り向けば、雲雀 恭弥が立っていた。

「あ・・あ・・あの・・・」

ビクビクしている少女には見覚えがあった。
雲雀にとって、腹立たしい人物と良くにたナッポー頭。
眼帯に、怯えた表情。
そのわりに意思を持った目。

「・・・それで、何か用?」
「あ、えと・・その・・・」

クロームが渡したモノは、手紙だった。

「む、骸様が・・・」
「骸・・?」
「あ、の・・・。絶対、来て欲しいと」

それだけ言って、クロームは立ち去ってしまった。
早いものだ。
全速力で逃げていく。
雲雀は、手紙を見る。

「・・・何、コレ」

――愛する雲雀君へ。

そのはじめの言葉で、残念だが、手紙はグチャグチャになりそうだった。
気色悪い。
少し、鳥肌がたったようだ。

――散ってしまう前に、桜の下で会いましょう。

嫌な感じはしていた。
行ってはいけないような気もした。
けれど、行かないと、大体は面倒なことが起きた。
それに今日は、桜吹雪が綺麗だ。

「・・・いやだけどね」

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