君らの世界

□第七話
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『んじゃ聞くけど、なんでその…管理人さん?(どこのアパートだよ)は俺にあの世に行って欲しいの?』



これ重要。まずは理由を聞かせてもらおうじゃないか。
聞いても行く気無いけど。



「…其方の妹は此方の世界で産まれ落ちる筈の魂であった。
しかし元々一つであった其方の魂とあまりに強く惹き合ったが為、彼方の世界へ魂が彷徨い出してしまったのだ。
そしてそのまま其方の妹として肉体を得てしまった」

『元々一つの魂って?』

「其方の魂は強すぎた。故に二つに別けて各々別の世界へ流したのだ。
しかし一つに戻ろうとする力も又強すぎた」



魂を半分ってアンタ…



「同じ魂を一つの世界に二つ存在させるわけにはゆかぬ。
吾はそれを修正すべく、二つの世界に途を創った。
ところが折り悪く、永きをかけて造り上げてきた力場に力を持った人間が侵入してしまった。
場の力は崩れ、其方の妹を呼び寄せる筈の途から此方の人間が彼方の世界へ落ちてしまった」



その時俺の頭の中に怒濤のように溢れ出てきたのは、突然押し付けられるように世話をすることになった……戦国武将達との記憶だった。

彼方の世界と此方の世界…。



「力場を造り、疲弊した吾の力は最早彼方の世界には及ばぬ。
しかし落ちた者達は連れ戻さなければならぬ。吾は彼方の世界の管理者と共に再び途を創った。
ところが…」



大量の記憶が甦るにつれ、子供の言っていることが何を指しているのかを朧気に理解し始める。

不気味な黒いモヤと触手

引きずり込まれた闇

その先に待ち構えていた苦痛

無意識に手をキツく握り締めていた


「其方は自ら此方の世界へ落ちた。
魂は別れたが、元より其方の存在はこの世界には異質すぎる。
其方の周囲に働き掛け、存在を排除しようと試みたが…。
彼等との絆が邪魔をする。其方を生かそうとする」



これは今までの異常事態をどうにか説明付けようと、俺の脳が精一杯思い描いた空想だろうか?だとしたら出来が悪すぎて笑えない。


 



『じゃあ俺がこっちの世界に来てから死にそうな思い…つか死にかけてるのって、アンタのせいなの?
それでこのままあの世に行けって?』


 
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