過去拍手

□素敵な思い出
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『───という訳で、私と晃は母様に仕事場まで連れて行かれてモデルを体験したってことですよ。それから、オーナー達にも気に入られたらしくてそのまま事務所に入りました』

「……良かったの?」


那琉先輩の問い掛けに、そして不二先輩と桃先輩の表情を見た私は苦笑した。










『後悔なんて、してませんよ』


バッと、那琉先輩達が何故分かったのかと言う顔で見て来た。
表情に出てれば、そりゃあ私は分かりますよ。


『むしろ私は、あの時に母様の行動に感謝してますよ』

「え?」

「何でだよ?」


だって……













『あの時母様に言って貰ってなかったら、今ほど服のことが好きじゃなかったかも知れませんからね。
それに、服を通して仲間もできましたから』


そう。

掛け替えのない、大切な仲間が。


「珠美がモデル始めたきっかけって、そういうのだったんだ」













『リョーマ……?!』


いきなり声が聞こえて来て、驚く。後ろを振り返れば、リョーマと晃の姿が。


「確かに、俺は珠美に巻き込まれたんだよなー……」


ま、今は楽しんでるから良いけどな!と笑って言った晃に、私も笑う。


「その時はまだ越前はいなかったんだね?」


不二先輩の言葉に、私と晃とリョーマは顔を見合わせた。


「さすがにそれはな……でも確か、」

『父様と仲の良いテニスプレイヤーに、同い年の子が居たのを聞いてはいましたよ』

「というか、いつ頃初めて会ったのか記憶が曖昧だよな」


確かに。
そうなんだよね……











けど、これだけは言えるかな?











『リョーマとは絶対、一回会ったきりにはならないって思ったよ』

「俺も。てか、二人の空色が目に焼き付いて離れなかった」


こうして昔のことを、笑い合いながら話せるのはとっても楽しいことね♪


「珠美」

『あ、玲。もう時間?』

「うん」


呼びに来た玲にありがとと礼を言い、私は自分を見てくる皆を見た。


『それでは、仕事に行って来まーす!』


気持ちを切り替え、さぁ行きましょう!












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