〜 月の悲しみのメロディー 〜 第2話 「好きだけど、秘密なの。愛しい人への挑戦状」
「クソ!またやられた!あの女怪盗め!今度は、聖なる乙女の涙を盗むだと!」
つい、二日前に、“人魚と月の涙”を盗まれて腹が立っているのに、次の予告状が届いた。
その予告状の内容に“聖なる乙女の涙”を盗むと届いた。それは、24日の24時だ。場所は、かの有名な画家が寄贈した教会だ。
あまりにも腹立ったしい文章に予告状を握り潰しそうになった。
「田沼さん!こんにちわ。」
私は、お菓子を持って警察署(敵陣地に忍び込んだ)に遊びに来た。
「あっ、姫!どうした?学校は?」
私が来ると、田沼さんの怒った顔も緩んだ。
「お菓子を持って来たんです!今日、午前中で終わりなんですよ!そう言えば、また、silver・moonにやられてしまわれたんですよね。」
そう言いながら、心の中でごめんなさいと謝った。
「そうなんだよ!でも、あいつの消えた後に、盗作疑惑や闇商売なんて話も出てきているんで驚いているんだ。あいつは一体、何者なんだ?」
「美月ちゃん!今日の差し入れ、何?」
目を輝かせてやってきた工藤刑事。
「工藤さん。今日は苺のタルトにしてみました。お口に合うか判りませんが、食べて下さい!」
にっこり、笑って答えた。
「先輩!貴方という人は...!いつもありがとうな!」
呆れつつも、私にお礼を言いながら、くれる、この温かな笑顔に今日もやられてしまいました。
聖夜、着々と準備を進め、約束の時間5分前に、近くに潜んでスタンバイしていた。
「...今日も無事に終わりますように!」
そう祈りながら、教会の鐘と共に決行した。
雪の中、教会に入り、警察のいる中に煙玉を投げ込み、取ろうとしたが、
「silver・moon!そこまでだ!」
絵の目の前に田代さんがいた。
「勘がよろしいのですね!でも、頂戴しますわ!この絵を描いたのは、本当は違うんですわ!だからこそ、許せない!頂きますわ!」
怒りながら、頂戴すると言い、目くらましをしようとしたその時......
「ズキューン」
銃弾が撃たれた音とその臭いが立ち込め、すぐに激痛が走った。
「アアー!痛」
そして、崩れ落ちた。
「silver・moon?!」
肩から血がポタポタと落ちて、田代さんは驚いた声を上げた。そして、煙幕は消えて行った。
「悪いお嬢さんだね!私の物を欲しがるなんて!」
一見、人の良さそうな牧師だが、こいつは...
「貴方の物じゃないでしょう!セリフィア牧師。それとも、フィリアとでも呼びましょうか?」
負けじと、強気な言葉を発しながら、立ち上がった。
「ックック!よく、ご存じで!しかし、貴女はここで終るのです。後ろの刑事と共に!」
「ピューン。」
カードを投げたが避けられた。しかし、ここで引く訳にはいかない。
「許さない!私のライバルを傷付けることはさせない。貴方だけは許さない!!」
飛び上り、華麗に空中線が繰り広げられる。本来なら、聖者などがいるはずなのだが、ここにはいない。個室だからだ。でも、中は広い。
ピストルの銃弾をガンガン打つから、田代さんに当たらないように気を付けて、闘う。
彼は何か言いたそうだけど、無視して、闘い続けた。
その結果
「silver・moon!止めだ!!」
こう言いながら、笑う男。かなり追いつめられているが、私は両親を失ってからの苦しみを思い出し、見えないように小さく笑った。
「Check mate!」
男の手が伸びる先に抜け出して、男に苦痛を与えて、男の懐にあった写真をばら撒いた。
その瞬間、男は悲鳴を上げて、崩れ落ちた。
その隙に逃げるように立ち去ろうとしたが、礼拝堂の窓から逃げようとしたところで、腕を掴まれてしまった。
「待って!お前は一体何者なんだ?どうして、絵ばかり盗むんだ?同じ作者ってなんだよ!」
「それは内緒!」
隙を作る為に、一瞬、口付けて、驚いた隙に脱出した。
「おい、あいつはどうした!」
田代さんの上司達がやってきたが、もう遅かった。
「ごめんなさい。でも、私は...」
自分でしたキスに、戸惑っていた。