宝
□**アカシ**(赤青)
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もう直ぐ此処にKAITOが来ると思うと、どうしよもない高揚感やら嗜虐心やらで俺の心はぐちゃぐちゃだ。
監査役の白衣を纏う研究員は俺の腕を椅子に拘束し頭皮に電極を取り付ける。以前の対面で俺がKAITOを殴り付けた事が原因だ。部屋には監視カメラで俺に自由は無い。
経緯はまたいずれかの機会に話す事として、俺とヤツは有機体のボーカロイドでヤツとの決定的な違いは色に有り、生合成に関わる何らかの情報が欠如し緋色の髪を持って生まれた個体が俺。生粋の人で言えばアルビノに近い。
同じ人工羊水の中で造られた俺達は完全なる双子になる筈だった。
片や俺の存在を知らされる事無く、蝶よ花よと育てられた温室育ち、俺に課せられたのは、ただの実験体。
早く来いよ、片割れ。
***アカシ***