COLORS

08
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貴方は私の中にするりと入ってきた。
荒んでいた私の心をぎゅっと掴んで離してくれない。
一人だった私に手を差し伸べてくれた。



-episode past-


「カカシ先生!ふざけてませんか?」
「ふざけてないよ。」
「じゃあ、その変な本しまってください!」
「いやいや、だって暇じゃないの」
「もう…私は副担任みたいなモンだから参加出来ないの分かってます!?」

大丈夫か、こいつ!!(年上だけどもういいや!)
今朝だって5時集合って言ったくせに何時間遅刻してんだ!
人の話聞いてんの!?
自分が喋った事覚えてないの!?
口出しするのは私の仕事じゃないから、もう知らない!


*************

数時間後、3名の合格が決まった。

「…あの、カカシ先生…」
「ん〜?」
「すみませんでした。差し出がましい真似をしてしまって…」
「いや、いいよ。話しておいても良かったんだけどね」
「いえ、私の考えが至らなかったせいです。」

私はこの人の上辺だけしか見ていないんだ。
暗部の頃に見た目で判断してはいけないって学んだ筈なのに、この人のあまりのユルさに油断してしまった。
ちょっと…見直したかも。
やっぱりこの人は凄い。

「○○ちゃん、今日の夜って何してる?」
「?…寝ます。」
「そういう事じゃなくてね」
「え、あの…じゃあ、なんですか?」
「夜、ご飯食べに行こう」
「分かりました」

……お誘い、されてしまった。
よし!ここで色々とお伺いして、もう少し「先生」らしくなれるようにしよう!
仮にも「先生」になったんだから!
暗部を抜けてまだ月日が浅いから、一人でなんでもやる癖が抜けない。
先ほど、カカシ先生が仰っていたけど、これからは私もチームプレイの一人になるんだから調和を大事にしなくては。
待機所を後にして、暗部へ翔を迎えに行こうと歩いていると…。



「ちょっと美人だからって調子乗ってんじゃないわよ」
「私たちだってカカシさんとお話ししたいのにー」
「彼女面してんじゃねーよ」




…ふぅ、こういうのが多い。
多分、上忍の女性だろうが、カカシ先生と組んでから多くなった。
いや「多くなった」わけではない。
きっと暗部は通常の忍者と顔を合わせる事は滅多にない。
任務中は顔が割れないように面を付けるから、傍から見たら私は新人の上忍に見える。
その「新人」の上忍がカカシ先生と組んでいる、となれば嫌味の一つや二つ言いたくなるのかもしれないな。
でも、「ただ一緒にいるだけ」で「彼女面」とは…随分暇な先輩方ですね。

「失礼致します。翔のお迎えを…」
「○○か。久しぶりだな」
「イビキさんっ!!お久しぶりです!どうして此処に?」
「ん、ちょっとな。翔の迎えだったな。ちょっと待ってろ、連れて来る」

イビキさんは暗部の拷問部の方で、暗部に入った時から目を掛けてもらってる。
お兄さんとかよりお父さんみたいな方だ。「飯食ってるのか」とか「ちゃんと寝てるのか」とか。
イビキさんは大柄でお顔にも傷があって厳しくて怖がってる人が多いけど、良く出来たらよく褒めてくれる。

「○○、待たせたな。ほら」
「翔、今日もお疲れ様」
「調子はどうだ」
「大丈夫です!勝手が違うので戸惑う事もありますが、なんとか…」
「何かあったら、すぐに言え。じゃあな」
「はい!ありがとうございます!」

さ、今日はカカシ先生と食事かぁ…。
あっ!服、何を着てけばいいんだろう…?




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