DEATH NOTE

目覚めは君と
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「ワタリ、少し席を外します」
「どちらへ?」
「彼女を起こしに行きます」


ここは私が設計し建設させた日本のキラ捜査本部のビル内。
普段はこの殺風景ではありながらも捜査に必要な巨大な機材しかないこの部屋に入り浸っている。
その最上階のワンフロアが彼女の部屋。
"部屋"と言うよりは家。
彼女の居る部屋に入れるのは私の他にはワタリのみ。
入室には私とワタリが所持しているIDカードとパスワード(英数字12桁)と指紋照合が必要だ。


「…自分で作っておいてなんですが、面倒ですね」


せめてパスワードは省略すべきでしょうか。
いや、でもここには私達以外にも人間がいるわけですし、万が一彼女の存在が明るみに出るような事があったら…………今度ワタリと検討しましょう。

彼女の寝室は玄関ドアから一番遠い最奥。
そうでないと物音で彼女を起こしてしまう。
ここの間取りの設計は私が最善の注意を払った場所なので当たり前です。

寝室に向かう途中にあるキッチンでアーリーモーニングティーを用意する。
茶葉を煮出している間が結構暇です。
何か甘い物でも……シュークリームですか。
一つしかないですね。
…………彼女には後で謝りましょう。
いただきます。


「美味しかったです」


紅茶を二つ手に寝室に向かう。


「7時50分。間に合いましたね」


キラ事件に進展が無い時はほぼ彼女の起床は私が行う事にしている。
彼女は一応目覚まし時計を用意しているが、大抵は放置に近い。
まあ早く起きる必要などないのですがね。


「時間です。起きて下さい」
「……これは……目覚まし、ですか?」


急にどこからともなく自分の声が聞こえてきてちょっとビックリしました。
前に彼女に頼まれてこの台詞を言わされたのですが、目覚ましの為でしたか。
しばらくすると、布団の中に潜っていた彼女がもそもそと這い出てきた。
…………アザラシか何かですか貴女は。


「時間です。起きて下さい」
「んぇ?える?」
「はい。Lです。紅茶、淹れてきました」
「あ、ありがとう」
「ミルクいりますか?」
「あ、いる」


彼女にポーションミルクを手渡し、カーテンを開ける。


「眩しいです」
「いっつも薄暗い本部にばっかいるから」
「私は顔を晒すわけにはいかない」
「はいはい」


朝日を浴びてふわりと笑う彼女は美しい。
眩しいのは貴女だけで十分です。




「あ、冷蔵庫のシュークリーム頂きました」
「は!?あれ楽しみにしてたのに!!」
「はい。美味しかったです」




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