DEATH NOTE
□私に言って
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ここ最近はヨツバの社員にキラがいるかも知れないと発覚し、道筋が決まったので色々と準備や裏付け等で忙しく彼女の所へは二週間ほど行っていない。
そろそろ顔を見ないと逆に心配で色々な事に手が付かなくなる。
そう思い今夜は彼女の元で紅茶を飲みながら話でもしようと部屋の前まで来ている。
そういえば数日前にワタリが何か言い掛けて止めた言葉に"○○さんが"と言っていた気がする。
「会えば解る事です」
煩わしいセキュリティーをくぐり抜け彼女の待つ部屋へ入る。
今は…0時を少し回ったところか。
普段ならまだ起きていてもおかしくない時間なのに妙だ。
妙だと言えばリビングがやけに片付いていて、強いて言うなら"生活感が無い"。
いつもならテレビ前のテーブルには○○さんの読みかけの雑誌や漫画、紅茶のカップが置いてあったりするのに。
「どうしたんでしょうね。○○さん、入りますよ」
「ん……ワタリ?」
「……私です」
声で分かってもらえない程放っておいたという事でしょうか。
それとも拗ねているんでしょうか?
いや、彼女は私のような幼稚な人ではない。
ただ単に眠いのかも知れない。
「あれ、L…久しぶり…」
「はい、お久しぶりです」
「捜査は?」
「もうすぐキラを捕まえられるかも知れません」
「そう…」
「○○さん…顔色が優れないようですが大丈…」
一目見た時から気になっていた○○さんの頬に触れた瞬間ワタリが言わんとしていた事まで全てが合致した。
……ワタリめ、こんな大事な事を黙っているとは何事ですか。
「冷えピタ…取ってきます」
「L…あの…」
「貴女は大人しく寝ていて下さい」
キッチンへ行き、冷蔵庫を覗くと、いつもはシュークリームやケーキくらいしか入っていないのに今日はスポーツドリンクや冷えピタ、果物が入っている。
しかも、うさぎの形に切られた梨の皿にはラップがかけられ"○○さん用"と書かれた紙が貼ってある。
……そろそろ私がここへ来る事までお見通し、という事でしょうか。
まったく…ワタリには適いません。
寝室へ戻ると○○さんは夢の世界へ旅立っていた。
「……私は…仕事が大事なんです。ですが…貴女も大事なんです。仕事は万が一私がいなくなっても後任の"L"を決めればいい。でも、貴女は貴女しかいないのです。…私の知らない所で貴女が苦しむ事などあってはならないんです」
○○さんに倒れられると私は"L"でいられない。
○○さんに何かあっても"L"でいられる程大人でもない。
だからせめて……
私に言って
(……Lってそんなにしゃべるんだ)
(!!…起きて…っ!?)
(私もLが一番大事よ)
(○○さんには適いません)
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[clap]