黒子のバスケ

ここでキスして
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いつからかな。
君が遠くに行ってしまったような気がしたのは。


「俊ちゃん」
「○○、どうした?俺まだ朝練中」
「昨日借りた数学の参考書」
「あー、俺の机の中入れといて」
「分かった、朝練がんばってね」
「おう」


本当は別に朝練中に持っていく必要はない。
お昼休みでもいいんだけど、それだと俊ちゃんとあんまり話せないから。
朝練中も大した会話出来ないんだけど。
だけど。
……俊ちゃんの席、どこだっけ?


「バスケ馬鹿」


思い出した。
確か中学にあがった頃だ。
俊ちゃんがバスケと出会って、日向くんやリコちゃんと出会って、だんだん登校時間がずれていって。
いつしか俊ちゃんとの時間が無くなってた。

それでも俊ちゃんとの繋がりが消えてしまわないように、勉強を教わるのを口実に度々声をかけた。
誠凛に入学したのも俊ちゃんが入学するのを知ったから。
そうして高校に入って日向くん達とバスケ部創設してモテ出して、あっという間にバスケ部一のモテ男になってた。
……大体の子は俊ちゃんのネタ帳見て去ってくから別にいいけど。
あんなカッコイイのにダジャレ好きだからな。
わたしはそういうギャップにもやられてたりするんだけど。





「伊月」
「ん?」
「朝、○○が来てたろ」
「うん、貸してた参考書返しに」
「付き合って「ないよ」


俺と○○は付き合ってない。
もう何年も一緒にいるのに一向に距離は縮まらない。
むしろ、最近は顔を合わせる機会も減ってる気がする。
理由は俺がバスケ始めたからだって分かってるけど。


「待ってると思うぞ」
「誰が何を?」


日向、いろいろ端折りすぎだから。
なんとなく分かるからいいけど。
俺だって実はそろそろいいかな、とか思ってる。
「好き」か「嫌い」かと聞かれれば「好き」だ。
だからといってそれがいわゆる恋愛の「好き」なのかと聞かれても分からなかった。
ただ、高校に入って時々見かけたことがある○○に告白している男子。
なんて言って断ってるのかまでは知らないけど、今のところ誰かと付き合っている素振りはない。

俺も早く言ってしまわないと、○○を誰かに奪られてしまうかもしれない。
でも、告白ってどうやってしたらいいんだよ!
分かんねーよ!
やっぱ呼び出しとか………いや、自然すぎるほど不自然だ!
俺が○○を呼び出すなんて出来るわけない!
あーもう授業全然入って来ねー。





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