長編
□魔界の空
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宿に戻った二人は、ガイに割り当てられた部屋で暫く思い出話に花を咲かせていた。
懐かしい、屋敷の軟禁生活。あの頃に戻りたいような、戻りたくないような…。
二人の想いは同じなのに、見えない壁が二人を隔てる。
もどかしい…甘く苦い、距離。
「もう遅いな。明日も大変だ、そろそろ寝たほうがいいな。」
一緒に寝よう、とは思ってもとても言えない。
屋敷にいた頃には、お互いに自然に出ていた言葉なのに。
「ああ、もう戻るよ。ガイと話せてよかった。おやすみ、ガイ。」
「ああ…おやすみ。寝坊するなよ?」
分かってるよ、と口を尖らせながら出ていくルークには、自然な笑みがこぼれていた。
「とりあえず関係修復は成功かな…?」
久々に、晴れやかな気分。
残すは…
「愛の告白、ってか?」
最大の課題はいつになったらクリア出来るのだろうか。
甘い難題に口を綻ばせ、ガイは明かりを消した。
「おやすみ…ルーク。」
夢で会えたら、迷わず告げよう…。
『好きだよ、ルーク。』
ガイは部屋に残るルークの香りに、暫く眠れずに睡眠不足で翌朝を向かえるのだった。