裏小説
□蜜
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今夜は満月だ。
月明かりにきらめく雪は美しく、幻想を作り出す…
『蜜』
ケテルブルクのホテル。ただでさえ高額なのだからと、質素倹約令を言い渡したアニスが割り振った部屋は、俺とルークが同室。ジェイドはネフリーの屋敷に泊めてもらうようだった。
寒いからと抱いて寝るため、ティアがミュウを連れていった。正真正銘の二人きり─だ。
「ここは何時来てもきれいだな〜。バチカルには雪は降らないもんな。」
「そうだな。こんなに降る街はここぐらいだからな」
窓に手をかけ、ルークは飽きることなく景色を眺めていた。
肌寒い引き締まった空気に、揺らめく朱。
鼓動が、鳴り響く。
白い肌を露出させ、その朱で本能を掻き立てる。
その総てが、俺を誘っている。
「へくしっ!部屋の中もちょっとさみ〜な〜」
俺はたまらず、ルークごと窓際に手をかけた。
「そりゃ、窓際は寒いさ。俺がこうしてやれば…温かいだろ?」
窓枠に置いていた手を、そっとルークに回す。
俺の腕の中で、ルークは目を閉じた。
「…二人きりって…あんまないから、ちょっと照れるな」
「…ルーク」
ルーク。俺の、俺だけのルーク。
愛しい、愛しくてたまらないルーク。
「…愛してる」
耳元で囁くと、ルークの顔が熱くなってゆくのを感じた。
「おまえは、なんでそう恥ずかしいセリフを堂々と言えるんだよ!」
ルークは照れを隠すように、声を少し張り上げた。
かわいい、かわいいルーク。
もう、オアズケはナシだぜ?
俺はルークを自分の方に向け、熱くなった頬を撫でた。
「なんでって…思ったことを言っただけだよ」
そう言うと、ルークは何か言いたそうだったが、その前に唇を塞いでやった。
「ん……っ!」
口内を貪り、舌と唾液をからめ、互いを確かめ合った。
「ルーク…」
「な、何…?」
長い接吻から解放されぼんやりしているルークに、今だと言わんばかりのお願い事。
だって、もう…限界だ。
「…したい」