長編
□割れた心
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目が覚めたら隣にルークがいた。
大切な、愛しい、ルーク。
傷つけたくなかった───
『割れた心』
「…済まない、ルーク。」
ガイは俯き加減に、ルークに謝罪する。
故意でなくとも、操られルークを襲い、傷つけようとする自分がいる。
その事が、何より辛かった。
「いいよ。操られてるんだ、仕方ないだろ。恨むならシンクのほうだ」
「ルーク…」
しかしそう言うルークの顔はいまいち釈然としない作り笑いで固められ、複雑な心境を物語る。
─ガイは知らない。
自分が、ルークにしてしまったことを。
剣を向けただけでなく、その体を暴いたことを。
「……」
言えない。こんな事は。
自分の中にしまい込んで、忘れてしまうしかないんだ。
そうすれば、ガイは心に余計な傷を付けずに済むのだから。
ガイのことだ、そんなことを知ったら余計に悔やみ、悩むだろうから。
何よりそれが嫌だった。
後は、自分が上手く笑えるようになれば事は済むのだ…。
思いを飲み込み虚空を見つめるルークの髪をガイはクシャッと優しく掴んだ。
「その分、おまえのこと守ってやる。─約束するよ。」
見詰め返した先にあるガイの目は鋭く、でも優しく。
自分に安心をくれる、いつもの大好きな眼差しだった。
「ガイ…ありがとう。」