長編
□過去と闇
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消えてしまいたい。
あなたに嫌われるのなら。
その金色の笑顔が曇ってしまうのなら…
『過去と闇』
俺は操られていた。
自分の過去と、心の弱さに。
導師・イオンから耳にした言葉は、俺を奈落へ突き落した。
俺はルークを傷つけたんだ。
清算しきれなかった。己の亡霊によって。
皇帝への謁見を済ませ戻ってきたルークの顔は曇っていた。
…当然だろう。信じていた友に裏切られた…そんなところだ。
もし、俺がルークと逆の立場でも、同じ顔をしていると思う。
…いや、それ以上に。
愛しているルークに恨まれていると知ったら、消えてしまいたいほど思い詰めるだろう…。
俺は過去を全て明かした。
今まで隠し通してきたのは、復讐を完遂するためではない。
勿論、はじめはそうだったが、今は違う。
心の闇を、ルークに知られたくなかったから。
だが、神は罪を許さない。