長編
□魔界の空
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何もかも忘れる事が出来たなら。
思うだけ、無駄だとわかってていても
それでも救いの手を渇望する───
『魔界の空』
崩落した大地は救われた。
アルビオールによる救出、そしてセフィロトによる大地の降下。
ルークは世界を救った余韻を噛み締めているはずだった。
ガイのことが、頭から離れない。
優しくされる度に辛くなり、笑みを見る度に胸がざわめく。
今までガイと一緒にいて、こんな感情に支配されたことはなかったというのに。
「何で、こんな気持ちになるんだよ…」
今ごろ外核では夜も更けた頃だろうか。
アルビオールから見上げる魔界の空は、闇に澱む。
「…俺の心みたいだ…」
こんな気持ちの時は、思えば魔界にいた。あの、忌々しい記憶の残像。
あの時も、魔界の空はルークはの心を包んでいった。
同じ闇を共有するかのように。