長編
□決戦・そして…
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変わりすぎてしまった。
何もかもが。
もう後戻りは…出来ない。
『決戦・そして…』
ヴァンは決戦の場をアブソーブゲートに選んだ。
全ての塵が飲まれてゆく終焉の地。
決着を付ける場に、相応しい。
「…この先に兄さんがいるのね…」
実の兄と戦うティアに、皆がただ視線だけを送った。
慰めの言葉など、彼女には鉛のような足枷になるだけ。
それが、皆分かっていた。
(ティアも辛いかもしれない。だが…)
ガイは拳をぎゅっと固めた。
微弱に震えるそれは、何度も揺らぎそうになった決意を思わせる。
(…ルークだって辛いんだよな。もちろん、俺も。)
ヴァンとは主従関係、幼馴染関係と、関わりは深い。
それ以後も、秘密裏に復讐という絆を囁き合った仲だった。
だが、何もかもが変わってしまったのだ。
そう、何もかも。
自分とヴァンとの関係も、この世界も、
……復讐の対象であったルークも。
本来なら秤に掛けるべきものではない、大切な者たちの命。
だが、既にガイの答えは決まっていた。
(悪いな、ヴァンデスデルカ…。俺は…あいつと生きるこの世界を取る!)
最深部へと続く階段を踏みしめ、嘗ての友のもとへ向かう足取りは、勇み足のようにも見えた。