短編
□スパ☆バケーション
1ページ/2ページ
ここはケテルブルクのスパ。
言わば巨大なアミューズメント温水プールみたいなものだ。
久々に1日自由行動の日が決まったので、俺はわざわざ予約をとって貸し切りにしておいたのだ。
正直、出費は痛かった。
高級ホテルのスパを貸切りにするのだ。当たり前と言えば当たり前だが。
しばらくみんなにはおにぎりだけで我慢してもらおう。
なぜそこまでするかって?
それは勿論…。
「うわー、誰もいないぜ?ガイ!貸し切り状態!すげー、広く感じるなー!」
「はは、そうだな。ルーク、あんまりはしゃぐと滑るぜ?(その時は勿論全身で受け止めるが)」
貸切りにしてあることは、ルークには内緒だ。
ここでサプライズをかまして一気に好感度アップを狙う作戦。子供にはこういう娯楽施設が何よりの餌だ。
「ガイについてきてよかったよー、俺!正直、ジェイドの『世界のキッチングルメツアー』と迷ったんだけどさ!」
「よかったなルーク。貸切りになったのは日頃の行いがいい証拠だぜ?(つーかあの鬼畜眼鏡野郎何ルーク誘ってンだよ!どうせ料理に何か怪しい薬でも盛る気だったんだろ!)」
うわあ、とはしゃぎながら水と戯れるルーク。
…眩しすぎる…
濡れた肌がやけにエロい…
端から見たら何ともいやらしい目付きになっていただろう。今の俺はスケベ大王どころかスケベ大魔王候だ。
…貸し切りでよかった。
こんな千載一遇のチャンスを逃すわけにはいかない。
隠しカメラ設置は360度完璧だ。あとはこのネクタイピン型小型カメラ(ル●ン愛用)でシャッターチャンスを常に逃さないよう神経を張り巡らせるのみ!
上手くいけば、あのいやらしいサイド編み上げの水着からちらりと覗くルークの(まさに)珠のような××をこの手中に収めることが…!
はっ…いかんいかん。俺としたことが。
こんなだらしなくよだれを垂らしていてはこの、世の腐女子どもを虜にする超ウルトラスペシャルクールビューティーフェイスが5割減ではないか…。
「ガイー?何してるんだよ?一緒に泳ごうぜ!」
ルークが俺の腕をガシッと組んで水の中へと誘う。
あっ…!
だめだ、ルーク!
そんなに乳首を押し付けるな!
水の抵抗を極力押さえたこのぴったり水着からもっこりするじゃないか!
「なあガイ、あっちに泡が沢山出てる所見つけたぜ?楽しそうだから行ってみようぜ!」
はうあ!!
なんですと!
ジャグジーと言えばその無数の泡でカラダのあらゆる性感帯を刺激されて身もだえてしまうあの魔性のスポットでわないか!!
自らそんなオイシイスポットに飛び込んでくれるとは…!
ああ、ルーク。
おまえ、何て末恐ろしい奴なんだ!!
「すげー、泡がブクブクして気持ちいいー!」
そうだルーク、その調子だ!
願わくは悪戯な泡よ、この無垢な子をまさぐって神秘のGスポットにその魔性の手を…!
「ん、あっ…!な、なんだ?何か俺、変…!」
キタ────────!!
このシャッターチャンスを逃すものか!
「はは、泡がこそぐったいんだろ、ルーク。」
紳士の笑みでもっともらしい事をいいながら、片手はこれ以上無いくらい高速でシャッターボタンを押しまくる。
「やあ…んっ!ガイぃ…!恥ずかしくなって…はぁんっ!」
?
なんか、様子が変だ。
泡だけでここまで感じるものか?(俺としては嬉しいが)
「………?」
それでもカシャカシャとシャッターを切り続けたが…
不意に、泡に浮かぶ栗色のものを見つけた。
こっ…この野郎!
「おい、何してるんだ!!」
「はっはっは、ばれましたか。」
ルークの足元に手を伸ばすと、見慣れた眼鏡のおっさんが釣れた。
「ジェイド!?何してるんだよ!他のみんなとグルメツアーじゃなかったのか!?」
「いやー、こちらの方がたのしそうでしたので、ついついこっそりついてきてしまいましたよ。」
「この変態エロ鬼畜眼鏡…」「おっと!ルーク、それより気を付けた方がいいですよ。あなた方が来る前に一応安全確認をしましたが、このスパの中に大量の隠しカメラが仕込んでありました。きっとどこかの変態譜業マニアの仕業でしょう。ガイ、安心してください。全て壊しておきましたから」
「………!」
「まじか!?世の中には変なやつもいるんだなー。ま、そんなやつ出てきたら俺が超振動で粉微塵にしてやるけどな!」
「…………!」
あまりの(重なる)ショックに言葉を失った俺は、とっておいた部屋に戻った。
(ククク…甘いぜ旦那!この小型カメラの存在までは見抜けなかったようだな…!)
これにはあのルークのかわいいいやん顔がわんさか写ってるんだ!
(…………)
期待に胸を膨らませて現像した写真には、どうやって写ったのか分からないが、全て鬼畜眼鏡の股間チラリ画像に擦り変わっていた…。
その日はショックで寝込み、高熱が3日続いた。
END