お宝小説

□甘苦缶コーヒー
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そして。
昼休み。皆それぞれ昼食を取りに持ち場を離れる。

メシなんて食ってるヒマはない!元々3日かかった資料。今日中だ。何としてもコレを片付けないと!!

…だが、気合いを入れた矢先、俺はまた椅子から落ちてコケる事になる。

「ルーク!」
「ーっ!?」
ガタン!!

「うぉい!またかよ!」
「もう〜ガイさんったら。またルークに意地悪して〜」

お願いだから…横からその綺麗な顔をいきなり出すの勘弁して下さい…心臓とか止まります…

ガイはまた片手でゴメン!のジェスチャーをしながら、
「ごめんな〜!一緒に食事しようかと思ったんだけど…どう?」

「…!ハイ!よろこんで!」


…誰だ?メシ食ってる場合じゃない!とか言った奴。

−−−−−−−−−−−

会社の前で、水色のYシャツと紺とシルバーのストライプのネクタイを緩めた姿のガイが手を振りながら
「さ、行こっか」
と爽やかに笑う。
思わず見取れてしまった。

(うわあ…いつも背広着てる姿しか見てなかったけど…逞しいなぁ…)


「………ルーク?」
「…あ!すみません!!」

ガイはそんな俺を見てクスクス笑った。
顔から火が出そう…。
今なら超常現象起こせる気がする…。

「…さては仕事で頭煮えたぎってて話聞いてなかったな〜!」
「す…すみません…」
(いや…貴方の胸板で頭煮えたぎってて聞いてなかったなんて…とても言えない…)

「じゃあ…もっかい聞くけど…何食べたい?」

何を…!?
ど、どうしよ…
ここは…ホテルランチとか言った方がいいのか?
あ、でも俺1800円位しか持ってない…
クレジットカードなんて持ってないし…

「…………ラーメン」




ああ…情けねぇ…俺。



ガイはそんな俺に
「了解!味噌ラーメンが美味い店知ってるぜ♪」
…と乗ってくれた。

自分の色気と若さのカケラの無さに自己嫌悪した。



あーもう!ヤケクソだ!
「へいぃらっしゃい!」
「ミソくれよ!!」
「あいよ〜!ミソ一丁!」



情けねー…

ガイはお冷やを注ぎながら「俺もミソくれよ!」と何だか楽しそうにニコニコしていた。

「ど…どうしました?」(馬鹿!俺のアホっぷりに呆れて笑ってるに決まってるだろ)

「んー?いや〜可愛いなーって思って♪」

思わず飲んでたお冷やを噴く所だった。

「か…可愛いっすか!?誰が…」
「ん?ルークが(超笑顔)」

そ…そんな爆撃しないで下さいよ…!

「あいよぅ!ミソ2丁お待ちィ!」

「いっ!いただきます!」
多分…いや、間違いなく顔は真っ赤だろう。

「お♪顔真っ赤」

ズルズル

(だ…!誰のせいだと思ってるんですか………ん?)

「…あ!」
「どうした?」

ミソラーメン凄く美味しい…!

「本当美味しいっすね!ミソラーメン!」

思わず笑顔が出てしまう。
ガイが…見間違いじゃなかったらだけど、一瞬顔が赤くなった気がした。

「…だろ?よかった!ルーク誘って!」
凄く嬉しそうにニコッと笑うから急激に恥ずかしくなってくる!

「また誘ってもいい?」

マジっすか!!
いいんですか!?

「も!もちろんです!!…オヤジ!替え玉ァ!!」「あいよー!」

照れ隠しに普段頼まない替え玉頼んでしまった…

そんな俺の様子をガイは嬉しそうに眺めていた。

−−−−−−−−−−−
「ありがとうごさいゃしたあ!」


ラーメン屋を出て会社に戻る。

「ルークってさ、よく食べるね〜」

「(…う!)あはは…育ち盛りですから…」

ガイはまたニコニコ頷く。

「なのにスタイル良くて羨ましいよ。」

…何言ってるんですか、モデル体型なのはあなたでしょう!!

「そんな事ないですよ。俺背低いし痩せてるからスーツに着られてる感じですよ?」
「それがまた可愛いんじゃん」

また爆撃ですか!!

「…そ、…そんなに、俺、か、可愛いですかぁ?」

…ぷっ!

ガイが吹き出し笑い出す。
なんで笑ってるのかが解らない。

「ちょっ…先輩!なんで…!」
「アハハハッ…!ハァー…笑ったあ…。ガイでいいよ」

えっ…?

「なんかさ。ルーク初めて見た時からね。なんかこの子可愛いなぁって思っててさ。」

「ーーーーっ!!先ぱ……いや、ガイ!俺可愛くないですよ!からかわないで下さいよ〜!!」

ああ…目頭熱くなってきたよ…ガイの台詞で…

ガイは綺麗で優しい微笑みで…
「ゴメンゴメン。…仕事、頑張れよ!応援してるからさ!」
そう言って…俺の頭を優しく撫でてきた。


「………っ!ハイっ!」


あっという間に会社に戻って来てしまう。
事務所の入口でガイと別れる時、
「じゃ、またラーメン行こうな♪」
と、笑顔で手を振ってくるから思わずつられて笑顔で手を振ってしまった。

昼休みがやたら短く感じた。


よし…!
なんとしてもこの仕事終わらせよう!!

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