Doll And Dolor
□Cinco-Verdadero
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「……てめぇら、よく来たな」
六番隊に足を踏み入れ、歓迎したのは恋次だった。
驚きを滲ませた彼の表情に、歩も軽く驚いた。
まあね、と内海は口角をつり上げる。
「僕はあくまで付き添いだけど。あ、会いに行くのはこの二人だから僕はそろそろ帰るけど。それともまだ来ちゃいけなかったかな?」
「どーだろな。十分……いや、五分ぐれぇなら隊長も何も言わねぇだろ」
「ありがとう! 流石百哉だね。話が通じないヤツじゃないよ」
にま、と笑う内海に、歩や半田だけでなく恋次も顔をしかめた。冗談でも止めてくれ、と恋次の唇が、まもなく確かに動いたのが見える。
恐らくこの瀞霊廷の中で百哉のことを「話の分かる男」と評する者は、内海くらいしかいないだろう。
そもそも百哉のことを隊長格以外で名前、しかも呼び捨てで呼ぶ者などそれこそ希有な存在に違いない。
くるん、とその希有な死神は歩たちに振り返った。