Doll And Dolor
□Uno-Diario
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──仄かに香る、日の光。
草木は柔らかく春うらら、花も優しく陽光を受け止める。
そんな、春の刻。
十番隊のとある一角。
「三席だって? よくやるわね、半田?」
「へへっ。歩に言われるとなんか照れるな」
「誉めるんじゃなかったわ。調子に乗らないで」
漆黒の女と、寒色の男が一組。
呆れたように男を見上げ、女は腕を組んだ。
「死神は思ってるほど楽じゃないわ。三席となれば尚更ね。…いきなり中間管理職で残念でした、とでも言っておこうかしら」
「それ隊長と同じこと言ってる! …でも、ホントは歩のいる五番隊が良かったんだけど。十番隊って知り合いいないしさ。俺やってけるかな?」
「…思ってるほど五番隊だっていいものじゃないわ。それに、やっていけるっていう信頼があったから、三席にいるのよ?」
「そか」
頭の後ろで腕を組み、男は己の鼻面を見つめた。
見える景色は春うらら。
日差しは柔らか、例年通りの春。