Doll And Dolor
□Dos-Mentira
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──ルキアが、いなくなった。
しかもそれは、現世での出来事らしい。
その事実を隊長である藍染から聞いた歩は、驚く前に呆然とした。
すとんと表情が抜け落ちた歩を労るように、藍染は彼女の頭に手を置く。
「笠寺君には辛い知らせだったね……もう少し、僕も言葉を選ぶべきだった」
「いえ……すいません。でも先ほどの話は」
「こう言うのも心苦しいが、どうやら真実のようだ」
悲しそうに目を細める藍染の言葉には、やはり嘘偽りはない。彼はこういった状況で嘘をつくような人ではないことも、歩は熟知している。
そして藍染も、歩のことを熟知している。だからこそ嘘をつかなかったのだ、彼は。
「……他の方には、仰ったのですか?」
「僕から直接言ったのは笠寺君だけだよ。でも、きっと皆もう知っているはずだ」
その藍染の言葉に、歩は少しばかり息を吐いた。
しかし安心など出来ない。 再び歩が目を伏せると、藍染も手をどけた。
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